アメリカの2019年9月の製造業の景況感の悪化から一日経ち、今度は9月のADP雇用統計も予想を下回る結果が出てきました。
製造業は悪化していても、非製造業がカバーして雇用が守られていることを期待していた人は多かったと思いますが、わずかながら予想を下回る結果が出てきています。
- 予想:14.0万人増
- 結果:13.5万人増(予想を下回る)
同時に、前月8月の19.5万人の数字も15.7万人に下方修正が発表されています。
低調ですね。やや陰りが出てきているのかなという印象を受けます。
中国への関税を追加した2019年5月は雇用は4.1万人増加と大きく落ちみましたが、それほどではないにしても9月の対中関税発動が悪い影響を与えた可能性があります。
ただし、もっと重要なのはADP雇用統計ではなく、10月4日に発表される政府発表の雇用統計です。こちらも予想を下回るようだと、少しまずいなという気がしています。
ADP雇用統計とは
そもそもADP雇用統計についてですが、アメリカ政府の雇用の発表前に、オートマティック・データ・プロセッシング社(ADP)が算出して発表する雇用者数データです。
ADPは給与計算を代行するビジネスを手がけていて、全米で数多くの従業員情報をデータを持っているので、それらのデータを用いた雇用統計を作成して発表しています。
政府発表の雇用統計のほうが重要度は高いですが、その先行指標として毎月注目が集まっています。そして、今回のADP雇用統計に関して言えば、製造業が景気悪いと見られている中でその影響がどの程度あるか心配して、蓋を開けてみた結果、予想よりも下回る内容だったというわけです。
本番は10月4日発表の政府雇用統計
今回のADPの雇用統計を受けて、ムーディーズのチーフエコノミストのマークザンディ氏は”私達は非常に重要な局面に差し掛かっている。次の数週間で、数ヶ月で何が起こるかが2020年に景気の悪化を招くか否かを左右する”と言っています。
また、警戒レベルが一段と上がってしまいましたね。ADPより重要なのは、10月4日金曜日に発表される政府の雇用統計です。
心なしか10月に入って、市場も少し緊張感が高まった気がしています。ただし、もしも景気が悪くなるとかなりの長期戦になるので、一つ一つのイベントにそこまで一喜一憂せず、大事なときに判断力が鈍らないようにしたいと思います。
そしてADP雇用統計も製造業の景況悪化も、悪化こそしているものの景気後退までには程遠いので、ゆっくりと構えることが大事になりそうな気がしています。