主にクリエイター向けのソフトウェアを販売するアドビの2021年3-5月期の決算発表があったので、この記事で触れておきたいと思います。
業績は素晴らしかったです。いつもどおりにアナリスト予想を超える決算で、営業利益が前年比+50%以上で伸びている点もかなり好印象でした。
アドビは安定して成長している上に営業利益率が年々改善されて、売上以上に一株利益が伸びているので、本来なら主力の投資先にしても良い企業だと思います。
それでも今はこの銘柄に投資していない理由は、どうにも割高に見えることです。
アドビの株に関しては、過去1年くらい同じことを言い続けてきましたが、まだ割高が解消されているように見えません。本当は欲しい銘柄なのですが、今買うと高値づかみになる恐れがあるのでグッと我慢したいと思います。
この記事のポイント
- アドビの2021年3-5月期決算は売上・利益ともに予想以上の結果を残した。
- 特に、営業利益は前期に引き続き前年比+50%以上で伸びるなど、大きく成長している。
- 良い企業だが、最大の難点は割高に見えること。最高値を更新してしばらくは株価の好調が続くかもしないが、今は高値掴みを避けるために投資をしないで待つ。
好決算だったアドビの2021年第2四半期決算
2021年3-5月期(2021年第2四半期)のアドビの決算は、かなり良かったです。
この企業はほとんどの決算でアナリスト予想を超える好業績を残すのですが、今期も当然のように予想を超える内容でした。
(※過去の5年間で20回分の決算を振り返っても、利益・売上どちらか一方でも予想を下回ったことは2回しかありません。)
- 一株利益:予想2.82ドルに対して、3.03ドル(予想超え)
- 売上:予想37.3億ドルに対して、38.4億ドル(予想超え、前年比+23%)
2020年はアドビと言えども売上成長率がやや低迷していたのですが、成長率は新型コロナウイルス前の勢いが戻っています。
また、売上以上に好調なのは本業からの利益を示す営業利益です。前期に引き続き、営業利益で前年比+50%超えでかなりの好業績が続いています。
アドビはソフトウェアの定期購読(サブスクリプション)が軌道に乗った2015年から毎年営業利益率を改善させていて、売上以上に利益が成長している点もかなり魅力です。
どうにも割高に見えるアドビ株
とても良い企業に見えるアドビですが、投資家にとって最大の問題点はとても割高に見えることです。
割高になると値が大きくなる予想PER(株価を1年後の予想利益で割った数字)を見てみても、今はかなり割高になっているのがわかります。
実はアドビについては、約1年前からどうにも株価が高すぎると言い続けてきました。
去年2020年8月末には、私もついに保有していたアドビ株を全て売却していました。
売却してから9ヶ月ほどは横ばいが続いていたのですが、2021年5月中旬からは再び勢いよく上昇して、今では売った価格よりもずいぶんと高い最高値をつけています。
また決算発表後も最高値を更新しているので、これからしばらくの間は株価は上昇が続くかもしれません。
こうなると「ずっと保有しても良かったのかな」とも思ってしまうのですが、今からこの株価の上昇に付き合うのは少し度胸が求められるので、このタイミングでの追加投資は私は遠慮しておこうと思います。
ここまで割高が続く原因は、長く続いているアメリカの大規模な金融政策が背景にあると考えています。
これからは大規模な金融緩和は縮小に向かって動き出すはずなので、数年のうちにどこかで株価は伸び悩む展開になるだろうと思っています。
その数年間を毎日株価を見ながらハラハラと過ごすのは良い気持ちがしないので、アドビは買いたくても今はその時期と思って、グッと我慢することにします。
「待つことができる」、それだけで平均以上の投資家に。
もともと人間は本来待つことが得意ではないようです。欲しい株があっても買っても良い株価に下がるまで待てる投資家や、保有してからも株価が上昇するまで待てる投資家は、それだけで平均的な投資家を上回ることができる素質があります。この記事では、「待つ」ことについて書いていきます。