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Adobe、成長分野のガイダンスに不安がにじんだ2019年3Q決算。

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Adobeの2019年第3四半期の決算発表がありました。

AdobeはPDFを開くときに、自然と目にしている人も多いのではないでしょうか。

アドビはPDFを見る人は無料で見れ、ファイルを作る人に有料のソフトを買ってもらうという面白いビジネスモデルを昔から採用したり、デザインソフトで圧倒的なシェアを誇るソフトの定期購読(サブスクリプション・ビジネス)で急成長を遂げたりと、ビジネススクールでよくネタになる企業です。

さて、今四半期の結果は良かったのですが、来期売上ガイダンスが弱かったために、時間外取引で4%ほど売られる形になってしまいました。

2019年第3四半期結果

  • 売上:前年比24%成長の28.3億ドル。アナリスト予想28.2億ドルを上回る
  • 一株利益:$2.05。アナリスト予想$1.97を上回る

以下、来期のガイダンスは売上・利益ともに弱かったです。

  • 来期売上予想:29.7億ドル。アナリスト予想の30.3億ドルを下回る。
  • 一株利益予想:$2.25。アナリスト予想$2.30ドルを下回る。

分野別ではデジタルエクスペリエンスがやや苦戦

Adobeは「デジタル・メディア」と「デジタル・エクスペリエンス」の2つの分野に分かれています。

  • デジタル・メディア事業:がデザイナー向けデザインソフト(Photoshop/illustratorなど)やドキュメントソフト(PDF等)の主力事業。
  • デジタル・エクスペリエンス事業:近年買収を進めているデジタルマーケティング支援ツールを提供する成長事業。

そして今回の決算で、一番気になったのは積極的に買収を進めて成長分野であるはずの「デジタル・エクスペリエンス」の分野のガイダンスがかなり弱く出ているのが、気がかりです。

前年比売上成長率 19年3Q 19年4Qガイダンス
デジタル・メディア +22%(売上規模$2.0B) +20%以下
デジタル・エクスペリエンス +34%(売上規模$0.8B) +23%以下

売上規模は主力のデジタル・メディア分野の半分にも満たないデジタル・エクスペリエンスですが、来期の成長予想が同程度なのはかなり気がかりです。

サブスクリプション化をほぼ完成させたアドビ

Adobeの売上を構成を見ていて、いつも感心するのは売上に占める定期購入(サブスクリプション)比率の高さです。

この比率は年々高まっていて、ついには約90%にまで達していて、安定した収益構造を形成しています。

販売形態 金額(100万ドル) 割合
サブスクリプション 2,546,571 89.9%
プロダクト 157,321 5.6%
サービス 130,234 4.6%
合計 2834126 100.00%

アドビのサブスクリプションは、ビジネススクールの教材になるほど有名な事例になっていますが、このサブスクリプションビジネスの成功のおかげで、この10年は非常に綺麗な増収の曲線を描いています。

既に株主のアドビに対する期待はかなり高いだけに、成長分野で有るはずのデジタル・エクスペリエンス領域での来期のガイダンスの低さが目立つ決算となりました。


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