Uberは2019年11月時点で赤字に苦しんでいますが、最近になってUberは、収益化に向けて2つほど面白い取り組みを始めています。
- Uberの新しい金融部門Uber Moneyの立ち上げ
- 広告ビジネスを展開する出前アプリUber Eats
この記事では、新規にUberが広告ビジネスに参入するという報道があったので、それについて取り上げていきたいと思います。
なお、1点目のUberの新しい金融部門Uber Moneyの立ち上げについての詳細は、金融サービスに力を入れ始めたUber – 収益化に向けた取り組み(1)を御覧ください。
この記事のポイントはこちらです。
- 出前注文アプリのUber Eatsは前年比+70%でユーザを急拡大させている一方で、レストランや配送ドライバーに支払うコストが大きく、Uberの手元に10%しか残らない低収益事業。
- ただし、ユーザ数が拡大しているからこそ、広告価値は拡大している。Uber Eatsアプリに広告を入れることで、収益性の改善を図る面白い試みをこれから開始しようとしている
- Uber Eatsのアプリを開くユーザは、お腹をすかしている有望見込み客が多い。つまり、広告をクリックする確率も、注文する確率も高いユーザが集まっていることから、広告単価は高く設定できる可能性がある。
ユーザ数を拡大させたUber Eatsで広告ビジネスに参入
Uberの広告ビジネス参入をいち早く報道していたのは、技術系ニュースサイトのTech Crunchです。報道によるとUber Eatsの広告をリードするトップ人材を募集していて、この部署は「Uber eatsのアプリ内で目新しい料理やレストランをい見つけられるようにする広告事業」を展開すると説明があります。
Uberが広告事業に参入、新たな収入源を模索(Tech Crunch Jpapan)
Uber Eatsは世界でも利用者が急増しているサービスです。以下の図で”Gross Booking”と書かれているのは、ユーザがUber Eatsのアプリで支払った金額ですが、前年比77%で上昇しています。
しかし、問題なのはその収益率です。レストランや配達ドライバーへの賃金を支払うとUberの手元に残るのは最新のデータではたった10.7%です。せっかくユーザ数が急増しているにも関わらず、この収益性は残念です。
ただ、ユーザ数が急拡大しているこそ、できるようになる商売もあります。それが広告ビジネスです。Uber Eatsのアプリの中で、レストランや出前広告を出すことで、Uber Eatsの低い収益性を改善できる可能性があります。
購買意欲に満ちた広告
Uber Eatsの広告ビジネスにセンスを感じるのは、Uber Eatsユーザとレストランや料理広告の相性の良さです。
当然ですが、出前アプリのUber Eatsを開く時、ユーザはお腹をペコペコに好かせている状態で、何かを食べようという気が高まっている状態にあります。そんな中に、広告を差し込むことができれば、レストラン側としては新規に顧客がつく大チャンスになります。
通常のGoogleの検索広告よりも、クリックされる確率も、実際に注文に結びつく可能性も高いため、Uberとしては広告単価を高く設定できる可能性があります。
広告ビジネスの巨人Googleも脅威に感じる、購買意欲の高いユーザ
かつてアマゾンが広告ビジネスに参入したときに、Googleはその驚異はその驚異を次のように表現していました。「アマゾンのサイトに来ているユーザは、購買意欲に満ちた状態にある」と。
例えば、Googleで「任天堂SD」と調べたユーザには、任天堂SDの発売年を調べたい人もいるかも知れないし、任天堂DSに関するニュースを知りたいだけで、購買意欲がないユーザも数多くいるはずです。
しかし、アマゾンのショッピングサイトで「任天堂DS」と検索した場合には、かなりの確率で任天堂DSの購入か、ゲームソフトの購入に結びつくはずです。例えばゲームソフト会社の目線で広告を出すことを考えると、ユーザが買う気満々がたくさんいるアマゾンの広告のほうが、google広告よりも魅力的に見えるのです。
これと同じことがUber Eatsに言えます。Uber Eatsアプリを開くユーザは、既にお腹をすかせているので、レストランとしてはUber Eatsに乗せる広告にかなり魅力的に感じるはずです。
収益性に苦しむUber Eatsですが、広告ビジネスは地道に収益率を改善できる良い一手だと思います。