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現時点のアメリカの景気の強さについて

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景気が悪化すれば、米国株は大きな下落に見舞われるだろうと私は思っていました。

そしてアメリカの実質GDPは既に1月から6月で2四半期期連続でマイナス(テクニカル・リセッション)になったことがわかったのですが、それからしばらくしても米国株は予想していたような下落は起きていません。

>>米経済、2期連続の実質マイナス成長でリセッション入り(22年7月29日)

今の自分の理解は何か間違っているのかも知れません。なので、もう一度状況を確認していきたいと思います。

この記事のポイント

  • アメリカで景気後退が起こる確率はかなり高い。金融引き締めが続いているので、今後数ヶ月から1年で景気はさらに悪化しうる。
  • 2022年1-6月にアメリカは実質GDPがマイナス成長になったが、この傷は今のところ浅い。
  • 金融引き締めが続いて失業率が上がり始めると、アメリカの景気低迷は深刻化しうる。しかし、それにはまだしばらく時間がかかりそう。

アメリカの景気後退のリスクはまだ遠のいていない


22年8月時点でアメリカが既に景気後退に入っているかどうかは投資家によって判断が分かれるところです。

しかし、いくつかのデータがアメリカの景気後退のリスクがかなり高いことを示しています。

景気後退を示すデータ

  • 逆イールド現象:長期国債の利回りが短期国債よりも低くなる現象が2022年に発生。景気後退前にほぼ確実に発生してきた(関連記事)。
  • 景気先行指標:現時点で3ヶ月連続でマイナスを記録。3ヶ月連続でマイナスが続いた場合には半年以内に景気後退。(関連記事)

「アメリカは1-6月が景気後退期で、既に低迷期は去ったのでは?」という可能性もゼロではないです。

しかし、金融引き締めが続いていることを考えると、利上げをして景気を冷やしている間に景気の最悪期を抜けるとは考えにくいです。

これから景気後退を迎えるか、それとも既に景気後退が始まっていてこれから景気がさらに悪化すると考えるのが自然です。

今のところアメリカの景気悪化は深刻化していない

どこかでアメリカの景気後退になることは確かだと思います。

しかし、その景気が大きく崩れるタイミングはまだ来ていないようです。

まだ景気は持ちこたえていることを示すデータ

  • 7-9月の実質GDPはプラスに浮上する見通し。
  • アナリスト予想では、今後も米国株の業績は好調だと言っている。
  • 失業率は歴史的水準で低く、これだけ低い失業率での景気後退入りは未だかつてない。

今のアメリカの景気が大きく崩れていない一つ目の根拠ですが、アトランタ連銀(GDPNow)の予想によるとアメリカの7-9月期の実質GDPでは前回までのマイナス成長からプラス成長に戻ることが予想されています。

この予想値は、今まで発表があった経済指標を反映して更新されるタイプのものです。なので、7月以降の経済指標はアメリカのGDPはプラス成長に戻ると言っていることになります。

どうも、22年の1月-6月から始まった景気低迷はまだ傷が浅いようです。

2つ目の根拠は、S&P500のアナリスト予想です。下の表に2022年のS&P500のアナリスト予想をまとめましたが、一株利益も売上も前年比でプラス成長を維持すると見られています。

アナリストたちも、アメリカの景気悪化が年内に深刻化するとは思っていないようです。

アメリカの景気がまだ大きく崩れていない最後の根拠は、歴史的に低い失業率です。

>>予想を超えて強かった7月のアメリカの雇用

この失業率が上がるような展開にならない限りは(賃金)インフレは抑えられないので、FRBは金融引き締めでいずれ失業率も上がってくると思うのですが、今はまだ失業率の上昇は見られていません。

さいごに


アメリカの景気は先行き不安ですが、今は傷が浅いようです。

もしも、アメリカの景気悪化が深刻化した場合には失業率の悪化が起こるはずなのですが、7月の雇用はかなり強かったので、それが起こるまでには少なくとも数ヶ月程度の時間がかかるはずです。

アメリカの景気が崩れて株価が下がるという展開は、それほど差し迫ったリスクではないように思えます。

ただ、9月には量的引き締めの規模拡大もあります。

量的引き締めの拡大は既に何ヶ月も前からアナウンスしていたので、9月の開始で今さら大きなショックはないと思いたいですが、景気の善し悪しに関わらず市場を冷やす展開にならないかを注意してみて見たいと思います。


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