アップルの7−9月期の決算が発表されました。
どうも毎回のように言っているのですが、今年のアップルは本当にいまいちな決算が続きます。売上はまたもや前年に届きませんでした。
大手ハイテク企業ではあるはずですが、今は成長企業には見えません。
この記事のポイント
- 売上も一株利益もアナリストの予想を上回ったが、売上は4四半期連続でマイナス成長を記録した。
- 製品別ではPC(マック)が不調だった他、地域別では中国の不調が売上低迷につながった。
- 売上の改善は10-12月期も見込めない。現時点ではアップル株をあえて買う材料は見つけづらい。
予想は上回ったが低迷が続くアップル
今回の決算で数少ない好材料は、売上と一株利益がアナリスト予想を上回ったことだと思います。
- 一株利益: $1.46(予想$1.39)
- 売上:$89.50B(予想$89.28B)
ただ、今回のアナリスト予想はかなり低かったことは容易にわかります。成長率を見てみると、売上は残念ながら前年に届いていません。
単位B:10億ドル | 23Q4 | 前年比 |
---|---|---|
売上 | $89.5B | -1% |
営業利益 | $27.0B | 8% |
一株利益 | $1.46 | 13% |
また、アップルの決算を少し前から見ている人は気づいていると思いますが、売上のマイナス成長からなかなか脱却できていません。
次のグラフは過去数四半期の売上と成長率を表したものですが、すでに4四半期連続で売上はマイナス成長に沈んでいます。
これは大手ハイテク企業の中でもかなりの低成長ぶりです。過去1年間でアップルの株価はS&P500を上回る30%弱上昇しているのですが、その企業の売上がマイナス成長とはなんとも悲しいです。
低調の要因
製品ごとの売上を見てみると、やはりPC(Mac)の売上の低迷が目立ちます。また、タブレット(iPad)の売上も本調子ではありません。
単位:10億ドル | 23Q4 | 構成比 | 前期比 |
---|---|---|---|
iPhone | $43.8B | 49% | +3% |
Mac | $7.6B | 9% | -34% |
iPad | $6.4B | 7% | -10% |
ウェアラブル | $9.3B | 10% | -3% |
サービス | $22.3B | 25% | +16% |
合計 | $89.5B | 100% | -1% |
Macは前年同期がかなり好調だったはずなので、今回の決算では成長率が余計に低くでていることは確かです。
しかし、パンデミック時にパソコンやタブレットを買い替えてしまった人たちに今のタイミングでもう一度を売るのは簡単ではないようで、アップルのMacとiPadの売り上げは長らく低迷しています。
10-12月期の業績もよくない
今回、投資家がガッカリした一番の要因は10-12月期の業績見通しです。
アナリストの予想では10-12月期の業績は前年から約5%の売上上昇を見込んでいたのですが、アップルのCFOいわく「ほぼ前年なみ」になるということのようです。
決算発表の直後ではなく時間が経つほどに株価が下落していったのは、こうした会見中のコメントを投資家が嫌ったためだと思われます。
3ヶ月前の決算の時には、このブログで次の様に書きました。
2023年のアップルは株価を大きく伸ばしましたが、前年比マイナス成長の低成長が続くなら、株価が今度も上昇するのはやや難しいかも知れません。
この意見は今もかえていません。実際に、前回の決算以降、株価は高値を更新できていないようです。
ちなみに、半導体企業と違ってアップルには生成AIのブームの恩恵も特にありません。
ティムックCEOはかなりの金額を生成AIに投資していると発言しましたが、スティーブ・ジョブズ氏がいなくなった後のアップルに創造的な製品やサービスを生み出す力があるかは疑問です。
というわけで、この企業の株価は引き続き重いと思います。次の決算期までに上昇したとしても、現在のアップルは買いではないと思います。