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アメリカの景気後退への道のりはまっすぐではなさそう。

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2023年のうちにアメリカはリセッション(景気後退)になると私は思っています。

数ヶ月前までは2023年前半にもリセッションになるかも知れないと言ってきましたが、今ではもう少し時間がかかって年半ばから後半になるのだろうと思い直しはじめています。

まっすぐに一直線にリセッションに向かっていくのではなく、景気の良い月と悪い月を繰り返しながら、ジリジリと時間をかけて景気が弱くなっていきそうな気配を感じます。

この記事のポイント

  • アメリカは今後高い確率でリセッションになると思っている。
  • しかし、一直線にリセッションに向かってアメリカの景気が沈むのではなく、強弱を繰り返しながらゆっくりとリセッションへ向かう。

アメリカ経済の復調は一時的か否か

12月のアメリカは消費がさえず、リセッションに向かっている印象がありました。しかし、1月に消費と雇用が強く伸びたことが分かると、一転して景気に前向きな投資家が増えています。

そこで湧いてくる疑問は「アメリカの景気は2022年から続く低迷から抜け出せそうなのか、それともやはりリセッションに向かってしまうのか」です。

2月の雇用や個人消費のデータはまだ発表されていないので、この質問にはまだ答えは出ませんが、企業の景況感(景気アンケート)を見る限りでは、2月も1月のように景気は良かったような印象を受けます。

>>米サービス業、1月の好調は2月になっても続いた模様。

ただ、1月と2月は確かに良かったのですが、個人的にはどうしてもまだリセッションに向かっていく中での、一時的な景気の盛り返しに見えています。

アメリカの景気に先行する様々なデータを集めて数値化した景気先行指数という数字があるのですが、過去のリセッションの到来をかなり正確に予想できたこの数字が大きく悪化していて、危険シグナルを送り続けているからです。

>>アメリカ景気先行指数の悪化ペースは、既に過去のリセッション突入時の水準(23年1月24日)

私はこの景気先行指数をかなり信頼していて、2023年のどこかにリセッションが起こると思っています。

景気が上向くことを示す先行指標もあり

ただ、いくつかの先行指標は、これからしばらくアメリカの景気が拡大をすると思わせるデータも見られます。

その一つは、フィラデルフィア連銀が発表している製造業の6ヶ月先の新規受注見通しの景況感です。

この新規受注見通しは、6ヶ月先のS&P500の一株利益とよく似た動きをするのですが、2023年4月には企業の新規受注が底を打っています。

S&P500の一株利益もこの動きに続くなら、2022年から続くS&P500の一株利益の低迷が底打ちするかも知れません。

>>【詳細】S&P500の一株利益、2023年4月に底打ちする可能性(22年12月18日)

データの読み方

景気先行指数とフィラデルフィア連銀の新規受注見通しのデータは一見すると反対のことを示しているように見えますが、どのように考えたら良いのでしょうか。

どちらかが間違っている場合ももちろんあります。ただ、どちらも過去の傾向をうまく掴んでいるので、「今回だけ間違っている」というのも変な話です。

どちらもあっているとしたら、次の2つのパターンが考えられます。

  • (1)景気先行指数が示すようにリセッションがやってきて、フィラデルフィア連銀のデータが示すように4月前後に景気の底打ちをする。
  • (2)フィラデルフィア連銀のデータが示すように4月前後にアメリカの景気は上向くが、一時的でその後にリセッションになる。

私の直感では(1)はないです。今の雇用や消費の強さを見ている限りは、4月までにアメリカがリセッションに入るとは思えないからです。

であれば、恐らく(2)です。アメリカは小規模で一時的な景気拡大を経てから、ゆっくりとリセッションに向かうのではないかと思います。

そして、景気が一時的によくなる動きはリセッション前にこれから何度か見られるかも知れません。過去の景気後退前を見てみると、新規受注見通しは何度か上昇していることがわかります。

なので、これからのアメリカは景気が弱くなったり一時的に回復したりを繰り返して、ゆっくりとリセッションに向かうのではないかと思っています。


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