2018年から、ずっと中国の景気は良くないとの報道がされています。そして、悪化を食い止められるか、それともこのままズルズルと後退してしまうのかで大きく未来が変わってくるような、重要な局面がそろそろ近づいているように思います。
中国の景気は2015年から2016年にかけて大きく経済指標が悪化していた時期がありました。このときは、政府の支援などで景気が再加速しましたが、最近の中国のあらゆる指標が2015-2016年の悪化時の数字に近づきつつあります。
景気の底入れはまだまだ確認できない中国
つい先日シンガポールが2019年第3四半期で景気後退(リセッション)入りを免れたと記事を書きました。
この記事の中で、「新興国や中国(の特に製造業)が底を打ちつつある」と見ているエコノミスト・アナリストがいると紹介したのですが、どうも本当に底打っているのか判断がつかないような、はっきりしない景気が続いています。もちろん、ちゃんと底を打っていれば世界の景気にとっては大変有り難いのですが、景気底入れに疑問符を投げかけるようなデータがあがってきています。
直近では10月15日に中国の9月の生産者物価指数が発表され、前年比-1.2%で、3年ぶりの下落幅で落ち込んでいることが明らかになりました。
- 予想:前年比-1.2%
- 結果:前年比-1.2%
事前の予想以上には落ち込んでいないことは、最低限いいニュースだったものの、まだ製造業の景気の底に来ているかどうかを判断するのは難しい結果になりました。
ここで景気悪化を食い止められるかがターニングポイント
今の中国に関する私の興味は、一部のエコノミストが言うように中国が政府の支援策で景気の底入れをするのか、それともこのままズルズルと景気が悪化していくのかです。
今、中国が景気を持ちこたえれば、2020-2021年の世界の経済はまだまだそれほど暗くないと思います。しかし、ヨーロッパがドイツ製造業の苦境とイギリスのEU離脱でかなり情勢が悪い中、世界第2位の中国までもが景気を悪化し続ければ、さすがに世界の景気も大きく減速する恐れがあります。
そうなれば、海外の売上比率の高い米国企業もダメージを受けるようになり、アメリカも無傷では済まないはずです。
そして2019年10月時点では上のグラフを見てもわかるように、2019年の中国は景気減速のリスクはありつつも、数字上はまだ2016年の時の低迷よりもわずかに上回っています。実はこうした現象は生産者物価指数だけでなく、製造業PMIや貿易統計などを見てもまだ2019年は2015年や2016年よりもわずかに良い数字が出ています。
中国はここで景気の悪化を食い止められるのか、それとも2015-2016年時の景気の底を超えて悪化してしまうのかで、かなり異なる未来が待っていると思っています。