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アメリカでインフレが長期化する兆候

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最近ではアメリカのインフレはまもなくピークをつけるはず、それは時間の問題だという声を聞くようになりました。たしかに、そろそろピークが来てもおかしくないとは思います。

ただ、一方で次の数年で再びインフレに苦しむ危険な兆候が早くも見られます。

インフレで苦しむ家計を助けるために税金の還付や給付金を行う州が出てきていて、この動きが加速すればアメリカは数年後に再びインフレに苦しむことになると思います。

この記事のポイント

  • アメリカでは物価の上昇に苦しむ家計を助けるために給付金を計画する州が増えている。
  • そもそも今の物価上昇は2020年から2021年に行われた現金給付が原因だった。
  • 景気が悪化したからといって現金給付が行われると、次の数年で再びインフレ率が上昇して苦しむことになる。

急な物価上昇の背景


2022年にアメリカは高い物価の上昇に苦しんでいますが、もともとのインフレの原因は2020年から2021年に行われた現金給付にあったと私は思っています。

2020年4月に全米で外出を規制してコロナと戦っていた時はまだしも、景気回復の兆候が見られた2021年になっても現金を給付したのは過剰でした。

まだ世の中全体で十分に生産ができていない段階でお金が配られて消費だけ活発になり、物価が上昇したのが2021年から続くインフレの流れです。

インフレの原因でロシアとウクライナの戦争を上げる人もいますが、22年2月の戦争よりも前から物価が上昇していたことを考えると、やはり現金給付のほうが説得力があると思います。

再び現金給付を行う州


そんな中、最近では州独自で再び現金給付を行う動きがいくつか見られています。

たとえばカリフォルニア州では、ガソリンや食料の物価高騰で苦しむ低所得から中間層を中心に最大で1050ドル(約14万円)の税の還付金を受け取れることになりました。

こうした税金の還付で現金を配る州はカリフォルニアだけではなく、コロラド、デラウェア、ジョージア、ハワイなど14の州で発表されています。

インフレ手当を意味するinflation reliefという単語の検索頻度も最近は急上昇しています。

景気が悪くなってきたときにこうして再び現金給付に頼る動きは、数年後に次のインフレの火種になる恐れがあると思います。

予想された展開


今のアメリカは、以前私が心配していた通りの展開になっています。

だいぶ前の話になりますが、2021年5月時点で次のようなことを書いていました。

>>米インフレ、今は一時的でも長期的にはきわめて大きなリスク(21年5月16日)

まだ私には2021年のインフレ率の上昇が一時的なものなのか、それとも今後何年も続くものなのか、判断ができていません。

ただ、短期的には今のインフレは一時的で終わっても、長期的に見た場合には今後のアメリカはインフレ率の上昇に悩まされる可能性がかなり高いとも思っています。

それは、2020年にアメリカで新型コロナウイルスで不況になったときの、景気回復があまりにも上手く行き過ぎたからです。

コロナ不況ではアメリカ政府の現金給付と金融緩和の合わせ技が行われましたが、この成功体験があまりにも人々の印象に残ってしまったために、今後景気が悪くなる度に同じ策が繰り返され、いずれその副作用のインフレを招くようになると思っています。

インフレを抑えることに関しては長けている日本を見習えば、インフレを抑えるためには現金給付ではなく消費税などの増税をすれば良いことはわかっています。(人々が買い物をしなくなれば、モノの値段が下がってインフレは解消されます。)

ただ、コロナ流行時に現金給付の魅力に気づいてしまったアメリカは、その魅力にあらがって増税を選択することが難しいようです。

このまま行けば次の景気後退が終わった後に、アメリカは再びインフレに悩むことになると思います。ちょうど1970年代にアメリカのインフレの波が何度か訪れたのと同じ展開を予想しています。

なので、次にアメリカの景気が悪くなってインフレ率が落ち着いた後は、インフレが再燃することにかけてコモディティやゴールドに大きく投資しようと考えています。


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