この記事を書いている時点で、私は米国株は35%だけ、その他の資産は景気後退に備えて国債を中心として資産を保有しています。
このブログを見ている人の中には、「ダウもS&P500も株価は歴代最高値だよ。いつまで景気後退向けの金やら国債を保有しているの?」と思われるかも知れません。
この記事では、今の世界の状況として金や国債が急速に売られ始めたことを紹介し、さらにそれでも私は金と国債を保有して景気後退に備える守りの姿勢を少くとも2020年末まではキープする方針だという根拠をお話します。
ポイントはこちらです。
- 2019年11月時点、世界の投資家は金や国債を売り、資金を米国株に移している。
- ただし、私は個人的には2020年後半の景気後退は、まだ起こりうると考えている。その根拠は過去に高い確率で景気後退を言い当ててきた逆イールド現象。
- 逆イールド現象を使ったFRBの予測モデルによると2020年後半に景気後退が起こる確率がリーマンショック以来の水準にまで上がっている。これが、2020年末まで安全な資産を保有する理由
世界の投資たちが金や国債を売却
まず、2019年の11月時点の世の中の動きをざっと振り返ります。
11月は対立が続いていたアメリカと中国の貿易を巡る協議が、ようやく部分的に合意に達しそうだという報道が出ています。この部分合意がサインされれば、米中の間で関税が一部撤廃されると言われていて、貿易が原因で景気が悪化する心配が急速に和らいでいます。
なので、今まで貿易戦争を理由に景気後退が来ると見て、金や国債を買っていた人は続々と株に資金を移しています。
この辺りの動きは、もう少しだけ具体的に大手銀行の例を見てみましょう。
金と国債を売り始めた大手投資銀行
こちらが11月に入ってからの大手の投資銀行の動きです。
- ゴールドマン・サックス「アメリカ株の相場が戻ってきた」と宣言
- JPモルガンとシティの2つの銀行は共に保有していた安全資産の金を手放す。
- 特に、シティは世界で最も最高位の格付けをされている安全資産のドイツ国債のショート(ドイツ国債は売られれば売られるほど儲かる取引)を開始
これを見る限り、世界的に今は安全資産の金と国債が売られれて、リターンの高い株を求めて資金が流れる動きが広まっています。
こちらは10年米国債の直近1ヶ月間の利回りのグラフですが、急速に利回りが上がっています。グラフの見方が分かりにくいかも知れませんが、国債は売られるほど利回りが上がるので、グラフが上に急伸したのは国債が売られたことを意味します。
それでも私が金と国債を売らない理由
ただ、それでも私はまだ景気後退に備えた金と国債の資産は売却しない予定です。少なくとも2020年末まではこの景気後退に備えたポートフォリオでアメリカ株の保有比率を減らしても、増やさないつもりです。
私が景気後退に備えた守りの資産を崩さない理由は、2019年に不況の前触れと言われる逆イールド現象が発生したためです。ギャウイールド現象は、長期金利が短期金利よりも小さくなる非常にレアな現象ですが、これが起こってしまうと1-2年以内に景気後退が来ることが知られています。
【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。
FRBの景気後退予測モデルは2020年8月の景気後退を警告
この逆イールド現象と不況の関係を発見したのはアメリカの中央銀行FRBのエコノミストなのです。FRBニューヨーク連銀のサイトでは、逆イールド現象を使った景気予測モデルの結果を見られるのですが、2020年7月に最も景気後退に陥る確率が高いと伝えています。
2020年夏に米景気後退か。ニューヨーク連銀の予測モデルが警告。
この予測は数ヶ月の誤差はあれど、過去に高確率で景気後退の時期を言い当てています。
なので、誤差を含めて2020年年末ごろまでは少なくとも景気後退に向けた安全資産の保有は続けたほうが良いと思っています。これが私が金と国債などの安全資産を売らない理由です。
まとめ
大手銀行のプロたちが言うように、私もしばらくは株高の状況が続くと考えています。しかし、もう少しだけ視野を広げた場合には、株高の局面の先に、2020年後半以降にアメリカが景気後退入りするリスクもあると見ています。
もしも景気後退前が起こるようなら株式市場はそれよりも数ヶ月前に急落するので、いつまで株高の居面が終わって急落が来てもいいように、安全側に倒して行動したいと考えています。