このブログでは、基本的に赤字の企業は株の購入対象にならないので取り上げていないのですが、それでも可能性を感じる企業は取り上げるようにしています。
その一つがタクシー配車と宅配で有名なUber(ウーバー)です。
この記事では、Uberに注目している理由と少し前に発表されたUberの2019年10-12月期(第4四半期:4Q)の決算を振り返っておきたいと思います。
この記事のポイント
- Uberは長期的には、自動運転の普及でタクシー運転手への賃金コストが削減されて、利益と株価の上昇が見込める。
- 2019年Q4決算は利益・収益とも予想を上回った。また、黒字化の実現の1年前倒しが発表されて株価が上昇した。
- 決算で気になる点は、ユーザ支払い金額の成長率が鈍化していること。それでも好決算の要因は、Uberの取り分を増やしているため。
Uberに注目する理由
Uberはタクシーをアプリで予約できるサービスを提供していますが、長期的に見た時に、自動運転の普及で大きくUberの株は上昇すると思っています。
自動運転が普及すれば、今までUberがタクシーの運転手に払っていた賃金はUberの手元に利益として残ることになります。利益が上がれば株も上がるはずだからです。
ただし、自動運転を見越した株の購入タイミングは今ではない気もしています。
グーグルやGMなどの一部の企業の自動運転は技術的にかなり完成度が高いですが、法律の整備が追いついていないので、本格的な普及は2030年代と見られているからです。
なので、「2020年代のどこかで10年に1度程度の米国の景気後退が訪れた場合には購入をしようかな」くらいのゆるい気持ちで、赤字でも毎回決算だけはさっと確認しています。
>>【参考記事】自動運転の普及で儲かる企業を、もう一度考えてみた。
2019年Q4決算結果
Uberの2019年Q4決算ですが、結果は良かったです。収益も売上も事前の予想を上回って、さらに黒字化を1年前倒す発表もあったおかげで、株価は時間外で10%も上昇しました。
- 一株利益:68セントで、予想の64セントを超える。
- 収益:40.7億ドルで、予想の40.6億ドルを超える。
2019年は上場してから株価はいまいちですが、実は比較的安定して良い決算を出している印象です。この1年間の決算は一株利益は全て事前予想超え、収益も1回しか予想を下回りませんでした。
Uber決算 | 一株利益 | 収益 |
---|---|---|
4Q19 | 予想超え | 予想超え |
3Q19 | 予想超え | 予想超え |
2Q19 | 予想超え | ミス |
1Q19 | 予想超え | 予想超え |
決算資料の振り返り
ここからはUberの決算資料から、気になる点を拾っていきます。
決算で気になった点
- ユーザ支払い金額の成長率は下がっている
- 支払い金額の成長率が下がっても、Uberの収益が上昇傾向にあるのはUberの取り分が増えているため
- でも、Uberの取り分の上昇はいずれ頭打ちになるため、Uberの成長はユーザ支払金額の成長率まで下がる恐れがあり。
ユーザ支払い金額の成長率の鈍化
決算資料の中で、まず気になるのはユーザの支払金額(Gross Booking)の成長率が鈍化していることです。
1年前まで37%の成長率があったのに、28%まで成長率が鈍化しています。これは少し心配な成長の鈍化です。
Uberの収益成長の要因は取り分の増加
「あれ?それでもUberって予想を超える収益を出していて好調じゃなかったの??」と思うかも知れません。
たしかにUberの収益は予想を超えて成長しています。1年前のUberの収益成長率は16%でしたが、2019年4Qでは41%成長に成長が加速しています。
ただ成長の加速は、どうもユーザ支払金額からUberの取り分にする割合(take rate)を引き上げていることが要因に見えます
上の図で折れ線グラフをみると、Uberの取り分の割合(take rate)は18.7%から20.6%に上昇しています。
前年はタクシー運転手や配達員への報酬を増やして収益成長が悪化していた一方で、今期は反対にUberの取り分を増やして収益を改善させたので、41%と高い収益成長になっているようです。
ただ、Uberの取り分の増加はやり続ければタクシー運転手や配達員の減少につながるので、いずれUberの収益成長率はユーザ支払金額(Gross Booking)の成長率に近づくように下がっていくと思われます。
Uberはまだまだ成長期企業のはずですが、その割にはユーザ利用金額の鈍化が見られるのが気がかりです。