マクドナルドの2019年10-12月決算が発表になりました。結果は良かったです。
利益・収益がアナリスト予想を超えた上に、マクドナルドが継続的に成長するために必須な既存店売上が5.9%上昇と力強く成長し、株価は時間外で+1.24%上昇しました。
- 一株利益:1.97ドルで、1.96ドルの予想を上回る。
- 収益:53億ドルで、予想の53億ドルと一致。
- 世界中の既存店売上:+5.9%成長で、5.2%予想を超える結果
この記事のポイント
- 収益・利益ともアナリスト予想以上の結果。世界の既存店売上が+5.9%と好調。
- ただし、主要マーケットの米国では、客単価は上がっていても、客数がわずかに減少。
- つまり、マクドナルドの課題は「米国の客離れ」。集客促進に向け、今後も店舗改装やIT技術の研究と導入に注力する方針を表明。
- 新型肺炎への対応については、発祥地の中国湖北省のマクドナルドの数百店を全店営業停止。他省では営業。
2019年のマクドナルドの四半期決算では、収益・利益どちらかのアナリスト予想を下回る結果が多く、株価は+11.29%とS&P500の+28.88%に比べて、出遅れていたので、この決算発表は一安心です。
「2019年の株価低迷は前CEOのスキャンダルの影響があったのでは?」という声が聞こえそうですが、すみませんが、私はその件は詳しくないです。
1ヶ月で誰も話題にしなくなるような些細なことだと「秒」のレベルで判断してスルーして、全く気にとめていませんでした。もしも、それで本当に株価が下がっていたなら、買い場だったのでしょう。
2019年業績結果
2019年第4四半期の結果を一応まとめておきます。
この数字はさらっと流して頂いてかまいませんが、はじめてマクドナルドの数字を見る人は、恐らく自分が投資している銘柄に比べて、マクドナルドの営業利益率の数字40%超えと異常に高いことに驚くと思います。
街中にあふれているマクドナルドですが、世界のマクドナルドを束ねる米マクドナルドは非常に効率的に儲けていることを知っていると、ちょっとマクドナルドの見方が変わるかも知れません。
他社との競争をしていても高い営業利益率が維持できているということは、安定した収益基盤を持っていることを意味します。投資先としては魅力的です。
単位:10億ドル | 4Q19 | 4Q18 | 前年比 |
---|---|---|---|
収益 | 5.3 | 5.1 | 4% |
営業収益 | 2.3 | 2.0 | 15% |
営業利益率 | 43% | 39% | – |
利益 | 1.6 | 1.4 | 11% |
一株利益 | 2.08 | 1.82 | 14% |
調整後利益 | 1.97 | 1.97 | 0% |
続いて、以下は2019年の通年の業績です。
単位:10億ドル | 2019通年 | 2018通年 | 前年比 |
---|---|---|---|
収益 | 21.1 | 21.0 | 0% |
営業収益 | 9.1 | 8.8 | 3% |
営業利益率 | 43% | 42% | – |
利益 | 6.0 | 5.9 | 2% |
一株利益 | 7.88 | 7.54 | 5% |
調整後利益 | 7.84 | 7.90 | -1% |
4Qだけでみると収益は4%で増加していますが、通年では横ばいの苦しい年になりましたね。
第4四半期の好調の要因は高い既存店売上
マクドナルドほどの大規模なレストランチェーン店になると、新規出店数を増やしても売上上昇率はそれほど伸びません。
安定して売上上昇するには、既存店の売上を上げることが重要になりますが、今期のマクドナルドは世界中の既存店売上が前年比+5.9%成長するなど好調をキープしました。
第4四半期のアナリスト予想を超える収益は、この既存店売上が大きく支えました。
マクドナルドの課題は米国の客離れ
今期は客単価があがったので、米国だけでも既存店売上は5.1%上昇しましたが、来客数は1.9%減少しています。一言でいうと、今のマクドナルドの課題は客離れです。
この課題はマクドナルドも認識をしていて、今期の決算発表で「米国の来客数をプラスにすることを最優先事項にする」と表明しています。
ユーザの利便性を上げるため、セルフオーダー・キオスクなどのハイテクな設備の導入や、店舗の改修に力を入れるようです。
【IT化が進むマクドナルド】最適な商品提案をするメニューボードへの挑戦
新型肺炎対策で、中国湖北省の全店を営業停止
中国の湖北省が震源とみられる新型コロナウイルスの対策として、湖北省のマクドナルドを数百店舗の営業をすべて停止することを決めました。湖北省以外の中国にある約3,000店舗は営業を続けるようです。
この対応が正解なのかどうかは、現時点ではわかりません。ただ、一時閉店を湖北省だけに絞ることで、売上へのダメージを少なく、犠牲者を抑えようとしている努力は感じます。
湖北省は2/1時点で世界中の新型肺炎の感染者の60%、死亡者の95%を占めている地域で、世界中でもこの省は特異的な感染地域になっていることは確かです。
感染者 | 死亡者 | |
---|---|---|
世界 | 11374 | 259 |
中国湖北省 | 7153 | 249 |
新型コロナウイルスの米国経済全体への影響は限定的だと思いますが、マクドナルドなどの外食チェーンやデパートなどの小売店となると、やはり影響は大きいですね。
ただ、次回の決算では新型コロナウイルスが業績にどのような影響を与えるかが注目点になりそうです。