米国は株価は順調なのですが、どうも景気はそれほど強くありません。
製造業の購買役員に景気の強さをアンケート集計したISM製造業指数は4ヶ月連続で50を下回って、景気の減速を示しています。
この記事のポイント
- 製造業の役員が感じている景気の強さは4ヶ月連続で悪化した。
- 2019年後半に株価は上昇したが、景気指標の調子は上がってこない。このまま行くと、景気に合わせて株価が下落する局面が来る恐れもある。
4ヶ月連続の景況悪化した11月の米製造業
ISM製造業指数は「御社の景気いかがですか」と350社の製造業の役員にアンケートした結果を集計したものです。毎月、どの指標よりも早く発表されるので、景気の強さを表す先行指標と見られています。
ISM製造業指数とは何か。なぜ注目されるのか【わかりやすく解説】
アメリカの経済指標って、よくわからないものが多いですね。「ISM製造業指数って何だ?」「なんで市場はISM製造業指数に注目しているの?」という方のために、ISM製造業指数とはそもそも何か(What)、なぜ注目しているか(Why)の話をします。
が、しかし。どうにもISMは直近数ヶ月良くない結果が続きます。11月は予想に届かなかっただけでなく、前月よりも悪化して、4ヶ月連続で景気悪化を示す50を下回っています。
- 予想:49.2
- 結果:予想を下回る48.1(前月の48.3も下回る)
株価と連動しなくなったISM
ISM製造業指数は株価と連動するような動きを見せる特徴があります。ISM製造業指数と米国株(S&P500)のそれぞれの前年比をグラフにしたのが、こちらです。
さすが景気の強さを表す指標と言わんばかりにこの数年間は、株価とISMは似たような動きをしています。しかし、それ以上に目につくのは、直近のISM製造業指数と株価の離れっぷりです。この数ヶ月間は連動が見られなくなっています。
何が気になるかというと、株価は上昇していても、景気はそこまで強くないのではないかと心配しています。このままでは景気に合わせるように株価が下がる局面が来るのではないかと思っています。
ISM以外の景気指標も株価と連動しなくなった
「米国は製造の国じゃなく個人消費が中心の国だから、ISMと株価はそこまで連動しないのでは?」と考える人もいると思います。
なので、今度は消費者が感じている景気の指標(コンファレンスボース消費者信頼感指数)でも同じようなグラフを作ってみましたが、やはり景気はイマイチで株価だけ上昇しています。
米国は株価ほど景気に強気になっていません。11月は歴代最高値を更新し続けたので、人々の景況感ももう少し上向いているかと思ったのですが、そうでもないようです。
11月の経済指標まとめ
11月の米経済指標の発表は始まったばかりですが、結果をまとめておきたいと思います。
コンファレンスボード消費者信頼感指数とISM製造業指数も、2つとも予想よりも前月よりも下回る結果でした。
11月米経済指標 | 予想以上 | 予想未満 |
---|---|---|
前回以上 | – | – |
前回未満 | – | ISM製造業 消費者信頼感指数 |
かなりスロースタートな月になってしまったようです。