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ドイツ、アナリストと機関投資家の景況感が急回復【ZEW景況感指数2019年11月】

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11月に入ってから、ドイツの景気見通しが急回復しています。まだ前年よりも悪化すると見ている人は多いようですが、その数は急激に減っています。欧州経済研究センター(ZEW)は最新の景況指数を発表しましたが、その結果は予想よりもずっと良い数字でした。

この記事では、「なんでドイツの景気見通しが改善しているの?」「米中の貿易協議の部分合意が近づくと、どうしてドイツの景気見通しが回復するの?」という疑問に答えます。

この記事のポイントはこちらの3点です。

  • 2019年11月に集計したドイツの半年先の景気見通し(ZEW景況感指数)は急速に回復している。
  • 景気見通しの回復の原因は、米中の貿易協議の部分合意が近いと伝えられているから。
  • ヨーロッパ最大の工業国のドイツにとって、中国は最大の貿易相手。中国の景気が、ドイツ製造業に強く影響する構造になっている。

急回復したドイツの景気見通し

経済研究所のZEWは、ドイツのアナリストや機関投資家350人に半年先の景気見通しのアンケートを毎月取って集計しています。最新の2019年11月のドイツZEW景況感指数は、予想よりを大幅に上回りました。

  • 予想:-13.0
  • 結果:-2.1で予想を大幅に上回る。(前月-22.8よりも大幅に改善)

結果はプラスの数字になると景気の上昇、マイナスになれば景気が悪くなると見ます。まだマイナス圏内なので、半年先のドイツの景気は今よりやや悪化するとアナリストや投資家は考えているようですが、その景気の悪化幅は急速に縮小しています。

景況感の回復の要因は米中部分合意への期待

ドイツの投資家たちの景況感が急回復したのは、アメリカと中国の間で進んでいる貿易協議で部分的な合意が近いことが原因と考えられています。

ここで自然と生じる疑問は、「なんでアメリカと中国の貿易協議が進展すると、ドイツの景気の見通しが上向くの?」という点です。ただし、この仕組みはとてもシンプルです。

自動車を中心にヨーロッパで一番の工業国であるドイツの最大の貿易相手国が中国だからです。貿易協議の進展が進展すれば、中国の景気が上向いて、ドイツの製品を数多く買ってくれるようになるからです。

中国への貿易を依存度を強める工業国のドイツ

2017年のデータを見ると、ドイツの最大の貿易相手国は中国になっています。輸入先として中国は1位、輸出先としても3位で、合計金額でオランダ、アメリカを抑えています。

2017年順位 貿易相手国 輸出入合計金額
1位 中国 1866億ユーロ
2位 オランダ 1773億ユーロ
3位 アメリカ 1726億ユーロ

特に、ドイツの主産業の自動車は中国で人気になっていて、2018年の中国での自動車販売ランキングを見ると、フォルクスワーゲンがホンダやトヨタを抑えて一番売れている車になっています。

順位 ブランド 市場シェア
1位 Volkswagen(ドイツ) 13.10%
2位 ホンダ(日本) 6.40%
3位 Geely(中国) 5.90%
4位 トヨタ(日本) 5.30%
5位 日産(日本) 5.00%

あまり知られていないのですが、近年のドイツは中国経済との結びつきを強めているので、中国の景気がドイツの景気にも影響する構造ができています。

景気後退入りが確実視される中の好材料

11月14日にも発表される2019年第3四半期のGDP速報で、ドイツは2期連続のマイナス成長になり、景気後退入りすると見られています。ただ、こうした苦境の中でも、米中貿易戦争の経過によっては、ドイツの景況感の見通しが上向く可能性があります。

この記事で主に触れてきたのは、アナリストや機関投資家などの投資サイドの景況感ですが、部分合意で何かしら既存の米中の関税の撤廃が発表されれば、製造業の企業の景況感の回復や、輸出を通じて売上低迷も底打ちする可能性があります。

11月にも部分合意すると見られている米中の部分合意で、どんな内容が盛り込まれるのかが注目です。


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