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トランプ大統領、全ての関税の撤廃は「合意していない」。

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2019年12月に米中は部分合意に至りました。

米中の部分同意第1段では、トランプ大統領が言ったように全ての関税の撤廃は含まれませんでした。撤廃されたのは2019年12月に発動予定だった関税のみ。そして、2019年9月の関税の税率軽減のみでした。

合意第1弾の内容はこちらの記事にまとめましたので、あわせてご覧ください。


米中の貿易交渉の部分合意が近づいていると言われながら、合意を署名する場所と時期は未だに決まっていません。

もちろん、これはお互いのスケジュールが合わないという意味ではありません。アメリカも中国も大統領といえども貿易協議の署名は最優先事項なので、他のスケジュールを押し退けても、調整するはずだからです。何かしら合意できていないものがあり、予定が組めない状況にあると考えられます。

一体何に揉めているんだろうと思っていましたが、どうも第一弾の部分的な合意で「どこまでの追加関税の撤廃を約束するか」で揉めているようです。

7日時点で中国は第1段の部分合意で「全ての」追加関税を段階的に撤廃することに合意したと発表していましたが、トランプ大統領は「全てではない」と否定するコメントを出しています。

あと一息のところまで来ているのですが、とても重要な点でボタンのかけ違いがあるようです。

中国側の主張

11月7日に中国商務省の発表のポイントを抑えると、次のような感じです。

  • 部分合意の第一弾で、全ての追加関税を段階的に撤廃することで合意した。
  • 米中がお互いに比例したペースで同時に関税を撤廃していく。
  • 上記2つは合意のための重要な条件。
  • 合意のための場所と時期は調整中。

この中でのポイントは言うまでもなく、撤廃することに合意した追加関税の対象が「全て」になっている点です。また、これは守られないようなら、合意はないと言っているようにも聞こえます。

米国側の主張

一方で、トランプ大統領の話を聞く限り、中国の発表とは合意した内容に違いが見られます。11月8日朝のトランプ大統領の発言内容はこうです。

  • 中国は多少の関税撤廃を求めているが、全ての関税の撤廃を要求しているのではない。なぜなら、中国は私が全ての関税を撤廃しないことを知っているからだ。私は何の同意もしていない。
  • 中国側はアメリカ以上に合意を求めている。
  • 中国との合意が成立すれば、農業の州であるアイオワなど米国で署名したいと考えている。

トランプ大統領よりも前に、ナバロ米大統領補佐官は「第1段階の合意の条件として既存の関税を撤回する合意は現時点でない。その決定を下せるのはトランプ大統領のみだ」と発言していました。そして、それを受けたトランプ大統領の発言は、やはり撤廃する関税は「全て」ではなないというものでした。

市場の反応は限定的

ただ、関税を巡ってまだ溝があることがわかったニュースが流れた後でも、アメリカ株の反応はかなり限定的でした。

市場は楽観視しているのか、もしくは最近の株価の好調は、米中の貿易協議の進展よりも、政策金利引下げの景気刺激策の影響があったのかも知れません。

いずれにしろ、まだ何かが決まったわけではないのので、こうした政治の一つ一つの動きに反応する必要はなさそうです。米中協議の状況を確認しつつ、景気がどう変わっていくのかを経済指標で確認する日々のタスクはまだまだ淡々と続きそうです。


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