海外株や、為替など海外資産の投資をしている人なら、誰もが注目するアメリカの雇用統計の最新のデータが発表されました。
アメリカの雇用統計では、結果がよければアメリカの個人消費が力強くなり、悪ければ個人消費が勢いよく失速する傾向があります。結果は、前月に比べるとやや悪かったものの、悲観的な事前の予想よりは良かったです。
アメリカの景気は確かに減速しているけれど、多くの人が思っているほど悪くなかったと市場は安心したようです。発表直後は安全資産の債権は売られて資金は株に向かって動き、株価が上がっています。
前月よりわずかに悪化も、予想を上回った
10月の雇用統計の結果を以下の表にまとめました。傾向としては、次の2点が上げられます。
- 予想値と比較した場合には、予想と一致したか予想よりも良い数字が出た。
- 前回の値と比較した場合には、前回と変わらないか、前回よりも数字が悪化した。
2019年9月雇用統計 | 結果 | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|
非農業部門雇用者数 | 12.8万人 | 8.5万人 | 18.0万人 |
失業率 | 3.6% | 3.6% | 3.5% |
平均時給(前年同月比) | +3.0% | +3.0% | +3.0% |
雇用者増加数は緩やかになっている
非農業部門の雇用者増加数の増加をグラフで見てみると、2019年の夏場移行は緩やかに雇用者数の伸びが弱まっている印象があります。
2018年は何度も20万人超えをしていたのですが、2019年は4月最後に20万人を超える雇用者数の増加は見られていません。安定して、緩やかに景気が減速しているように見えます。
50年ぶりの低水準だった失業率は0.1%増加
ちょうど一ヶ月前の雇用統計では、50年ぶりに歴史的な低水準の失業率の3.5%を記録して良いサブライズを起こしていましたが、その水準からは早くも0.1%上昇していました。
ただ、0.1%上昇してもまだ歴史的に低い水準には変わりありません。これから失業率が上昇傾向になるのか、このまま低水準をキープするかで、アメリカ経済に与える影響が大きく変わる気がしています。
もしも、失業率が上がってくると好調な個人消費は急速に冷え込むので、来月以降の失業率の変化はちょっと気をつけてみたほうがいいかも知れません。
まとめ
10月に発表された他の指標を同じように「10月の雇用統計も、良くない結果になるのでは」と全体的に悲観的になっていましたが、予想していたほど結果は悪くならず、踏みとどまりました。
これは想定していたよりも、景気の減速がゆっくりだったことを表します。確かにブレーキはかかっているけれど、アメリカ経済のブレーキはそっとゆっくり踏まれていた、そんな印象を与えた雇用統計でした。