なんで、米国株ブログなのに韓国のGDPを話題にしているのかと思うかもしれません。その理由は韓国を見れば、これからの世界の景気が持ち直すのか、それとも悪化するのかのヒントが見えてくるだろうと思っているからです。
韓国は輸出産業が中心で、しかも中国との貿易が盛んな国なので、2018年から不調になっている世界貿易と中国の景気の影響をいち早く受ける国です。この国に復活の兆しが見えてくれば、中国や世界貿易も少しは好転してくることが見えてくるはずです。
そんな韓国の19年第3四半期のGDPが発表されました。残念ながら、GDP成長率だけ見ると、たいして景気が良くなっている兆しは見えません。
- 韓国GDP成長率(前期比):予想+0.5%を下回る+0.4%
- 韓国GDP成長率(前年比):予想と一致する+2.0%
全体の傾向を掴むために、前年比で最近のGDP成長率を見ても、はやり復調と全体的に韓国経済は右肩下がりに来ている印象のほうが強く見えてきます。
ただし、内訳を見ると個人消費+0.1、%建設関連に至っては-5.2%と韓国国内はまだまだ低迷しているのですが、韓国経済の肝となる貿易で輸出の伸びが+4.1%と持ち直してきています。
韓国経済が底入れしたとみるエコノミスト達
そんなわけで、輸出の伸びを理由に韓国の景気が底入れしたと見ている専門家達もいます。
「世界的なITサイクルに回復の兆しがみられることから、韓国経済はおそらく今が底あるいはすでに底を打ったと考えられる」
(イーベスト投資証券のチーフストラテジスト、Yoon Ji-ho氏、出典:ロイター)
もう少し具体的に復調の兆しを知りたいと、調べているとみずほ総合研究所が丁寧に解説しているレポートを発見しました。
米中・日韓摩擦の激化で五里霧中の半導体市場(みずほ総合研究所)
・・・なんかすごいタイトルですね、タイトルに「五里霧中」って入っているレポートをはじめてみました。こちらのレポートは大事なことを言っています。
- 世界半導体売上高の減少傾向は続いているものの、2019年半ばに下げ止まりつつある。(半導体は韓国の主要産業の1つ)
- 下げ止まった要因は、ファーウェイ以外の中国スマホメーカーが半導体を調達していること
- でも自動車・スマホ・産業機器などの需要はまだ弱いし、12月のアメリカ追加関税で需要はさらに弱まるかもしれない(世界の半導体売上は下げ止まっているが、再び下がるリスクもまだある)
中国の半導体の輸入が本当に増えているのかですが、ひと目で分かる図も掲載してあります。
なので、たしかに半導体に関しては景気の底を打った可能性があるかもしれません。
半導体の復調が意味するもの
今まで世界の景気は悪化の一途をたどっているという見方が多かったですが、悪化するストーリーと同時に、景気が持ち直すストーリーも頭の片隅に入れておいたほうが良いかもしれません。
ただし、みずほ総合研究所も言っているように、まだ復調と呼べるほど兆しが力強くない上に、米中の貿易戦争の経過によっては再度状況が悪化するリスクも十分にあります。
また景気後退になる前には、景気が一時的に良くなることが知られているので、今回の景気の復調は、景気後退前に一時的にろうそくの火が強くなるような現象かもしれません。
2000年の夏、アメリカの景気は以下の図のようにかなり好調でした。1-3月期(2000年1Q)に低迷したもののしっかりと直後に+7%成長に持ち直して、その後も景気は明るいだろうと多くの専門家達は予想していました。
そころが、そのわずか四半期後にアメリカは景気後退を迎えています。景気後退前は景気刺激策を受けて、最後の一瞬きらめく傾向があるようなのです。
韓国の輸出の復調が意味するものが「世界の経済の本物の景気回復の前兆」なのか、それとも「景気後退前の最後のキラメキ」なのかは、じっくり観察する価値がある気がします。