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5回連続で世界の成長率予想を引き下げたIMF。5回分のデータを追ってみた。

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IMF5回連続の経済成長予測引き下げ

IMFは2019年の世界の経済成長予測を3.0%に引き下げました。成長率引き下げはこれで5回連続になり、10年間で最も低い数字になります。

5回連続引き下げと言われてもピンと来ないので、実際にIMFのサイトを見に行って、過去どのような成長利率予測をしていたのか、以下のIMFのサイトから資料を見てみました。

World Economic Outlook(IMF)

2019年と2020年の経済成長率予想の数字だけをまとめたのがこちらです。経済成長予測は3ヶ月に1回の頻度なので、予測引き下げ直前の2018年7月からデータを追っています。

予測時期 19年成長率予測 20年成長率予測
2018年7月 3.90%
2018年10月 3.70%
2019年1月 3.50% 3.60%
2019年4月 3.30% 3.60%
2019年7月 3.20% 3.50%
2019年10月 3.00% 3.40%

なるほど、ダダ下がっていますね。グラフにしてみると2019年の成長率予想が下降の一途をたどっていることがよく解ります。IMFの資料には2017年の3.8%と比べても「深刻な落ち込みと言える」と書いてあるので、2019年の景気はよろしくない事態であることがわかります。

IMFが見る2019年と2020年の世界経済

資料を探っていると、2019年10月時点でIMFがどのように景気を見ているのかが書いてあったので、以下に要点をまとめておきます。

重要な点としては、2019年の景気が低迷する要因は「高まる貿易摩擦と地政学的なリスクがもたらした不透明感」だということ。その一方で2020年に成長率が上昇すると見ている理由は「2019年に成長率が大幅に減少した新興国や発展途上国の景気が回復するから」と見ているようです。

  • 2019年の世界経済成長率予想は世界金融危機以降もっとも低い3.0%。内訳は先進国1.7%。新興国・発展途上国は3.9%。
  • 2019年の景気落ち込みの要因は、高まる貿易摩擦と地政学的なリスクがもたらした不透明感。また各国特有の理由で経済状態の悪化した新興国が複数あること。
  • 2020年は3.4%に成長が拡大する見通し。先進国の成長は変わらず1.7%だが、発展途上国は3.9%から4.6%に上向く
  • 2020年に発展途上国の景気が上向く要因は、2019年に低迷しているトルコやアルゼンチン、イランの景気が上向くか、景気後退の程度が軽くなるため。また、ブラジルやメキシコ、インド、ロシア、サウジアラビアなどの国で景気の回復が見込めるから。

ちなみに、経済予測を毎回のように引き下げる傾向は、景気後退期の突入前によく見られる傾向です。そして、大抵の場合予測を引き下げたとしても、それが実際の景気よりも楽観的に見ている場合が多いと言います。

参考:エコノミストでも予想できない景気後退、前年に予想できた確率はわずか数%

個人的には2019年、主要な国で景気後退に陥るのは可能性があるとしてもドイツくらいだと思っていますが、まだIMFも楽観的に見ている2020年以降のほうが気がかりです。


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