ジョンソン&ジョンソンは57年連続で配当を増加しているなど、安定した業績に定評がある会社です。2019年6-9月期の決算報告でも、癌治療薬などの医薬品が売上を伸ばし、アナリスト予想を上回る結果となりました。
いい感じですね。売上・利益の伸びがかなり低いのは気になりますが、予想を超える決算だったことはまずは一安心できる内容でした。
発表スライド資料はこちらのWebcasts & Presentations(Johnson and Johnson)のページでacceptを押すとダウンロードできます。
- 一株利益:予想2.01ドルを上回る2.12ドル(前年同期比3.4%増)
- 売上:予想200.7億ドルを上回る207.3億ドル(前年同期比1.9%増)
欲張った注文をつけるなら、一株利益も売上増加ももう少し欲しいところですが、アナリスト予想をちゃんと超えてきました。また2019年の通期の一株利益と売上のガイダンスも引き上げたことで、時間外で株価は1.8%上げました。
好調だった医薬品セグメント
私達、一般消費者から見るとジョンソンアンドジョンソンは日用品の会社ですが、セグメント別に見ると、売上の半分以上を締めているのは医薬品です。今期は医薬品の分野で10製品が前年比2桁の売上増加を果たすなど、売上に大きく貢献しています。
特に売上を大きく伸ばしたのは多発性骨髄腫治療薬Darzalexの前年比53.5%増の7.7億ドル、抗がん剤Imbruvicaは30.6%増の9.2億ドル、乾癬治療のStelaraは、29.6%増加の約17億ドルでした。
セグメント | 予想 | 結果 | 前年同期比 |
---|---|---|---|
日用品 | 35億ドル | 35億ドル | 1.6%増 |
医薬品 | 104億ドル | 109億ドル | 5.1%増 |
医療機器・備品 | 63億ドル | 64億ドル | 5.3%減 |
好調だったアジア・アフリカ市場
さらに、地域別に見ると、アジア・アフリカでの売上の伸びが大きく貢献しています。また、売上比率を見るとアメリカがまだ半分を占めていることから、海外での売上の伸びしろはまだまだ大きく、今後に期待です。
訴訟リスクを抱えるジョンソンアンドジョンソン
ジョンソンアンドジョンソンは基本的にはおすすめできる銘柄ですし、私も長年保有していから一度も打っていない信頼を寄せている銘柄なのですが、これから投資をする方には、1点注意したほうがいいことがあります。
ベビーパウダーに発がん性があるとの訴えや、鎮痛剤に含まれるオピオイドと呼ばれる成分の中毒性の訴訟を多数抱えていて苦しい状況にあることです。
2019年には統合失調症薬の関する訴訟でこの年最高額の賠償額の判決が出ているなど、やや逆風が吹いています。
J&Jに8600億円の懲罰的賠償義務と米陪審-米国で今年の最高額(ブルームバーグ)
なので、訴訟の結果によっては今後の決算で利益が減少する恐れがあるのは、知っておいた上で投資の判断をしたほうが良いかもしれません。ただ、訴訟が多いとはいえ、それでジョンソンアンドジョンソンの企業の永続性が失われるものではないと思っているので、私は引き続きこの銘柄を保有します。