最近はよくアメリカの過去の景気後退を調べているのですが、景気後退は10年以上前のかなり昔のデータを掘り起こさないといけないので、「いままでの景気後退はいつからいつまでか」、「過去の景気後退時のS&P500の下落率はどの程度か」など基本的なデータを調べるのもの、ひと手間かかってしまいます。
基本データだけでも1つのページにまとまっていると便利なのにと思ったので、こちらのページでまとめていこうと思います。
このページで紹介している基本データは次のものになります。
- アメリカの景気後退はいつからいつまで
- このページで使ったデータ一覧
- 直前の株価のピークから何ヶ月で景気後退入りしたか
- 景気後退入りしてから何ヶ月で株価の底値をつけたか
- 過去の景気後退時の下落率は
- 景気後退前の株価のピークから、後退後の株のボトムまでの期間は
アメリカの景気後退はいつからいつまで
まず、一番基本的なこととして、景気後退の時期はいつからいつまでかをまとめておきます。
景気後退開始 | 景気後退終了 |
---|---|
1960年5月 | 1961年2月 |
1970年1月 | 1970年11月 |
1973年12月 | 1975年3月 |
1980年2月 | 1980年7月 |
1981年8月 | 1982年11月 |
1990年8月 | 1991年3月 |
2001年4月 | 2001年11月 |
2008年1月 | 2009年6月 |
データはFRBニューヨーク地区連銀のこちらのサイトで得られるデータから景気後退時期を割り出しています。ニューヨーク連銀のサイトのデータが1960年以降だったので、必然的にこのページで扱うデータも1960年以降のものになっています。
The Yield Curve as a Leading Indicator(FRB of NY)
このページで使ったデータ一覧
このページで触れていくデータを先に表示しておきます。
ただし、これだけ見てもこのデータをどのように使っていくか、わかりにくいと思いますので、次の章からこの表の何を見ながら、どのように読み取っていくかを説明していきたいと思います。
(A)株価のピーク | (A')ピークの株価 | (B)景気後退入り | (C)株価のボトム | (C')ボトムの株価 |
---|---|---|---|---|
1959年7月 | 60.62 | 1960年5月 | 1960年10月 | 52.2 |
1968年11月 | 109.09 | 1970年1月 | 1970年5月 | 70.94 |
1973年1月 | 120.71 | 1973年12月 | 1974年9月 | 60.96 |
1980年2月 | 118.66 | 1980年2月 | 1980年3月 | 94.23 |
1980年11月 | 141.96 | 1981年8月 | 1982年8月 | 102.2 |
1990年7月 | 369.68 | 1990年8月 | 1990年10月 | 294.51 |
2000年3月 | 1552.87 | 2001年4月 | 2001年9月 | 794.1 |
2007年10月 | 1576.09 | 2008年1月 | 2009年3月 | 666.79 |
直前の株価のピークから何ヶ月で景気後退入りしたか
株価のピークからから何ヶ月たって、景気後退入りしたかをまとめたのが以下の表です。
このデータは何に使えるのかと思われるかもしれませんが、株メインで投資をしている人が、景気後退が来ると思われる時期の何ヶ月前から株を売って、逃げたほうが良いかを現しています。
最大で13ヶ月前に既に株のピークをつけて下がってくこともあるので、安全を期すなら景気後退が来ると思っている約1年前から株を売って逃げるたほうが良いさそうだと言えます。
ただし、問題は景気後退の時期を1年前から正確に当てることができるのかと言う点です。これは言うほど簡単ではありません。
一つの目安として、ニューヨーク連銀が出している景気後退入りの確率を算出していますので、それを目安にするのが良いかもしれません。ニューヨーク連銀の予測モデルの調べ方は、以下のページの後半に掲載しています。
参考記事:2020年夏に米景気後退か。ニューヨーク連銀の予測モデルが警告。
(A)株価のピーク | (B)景気後退入り | (B)-(A)の期間 |
---|---|---|
1959年7月 | 1960年5月 | 10ヶ月 |
1968年11月 | 1970年1月 | 14ヶ月 |
1973年1月 | 1973年12月 | 11ヶ月 |
1980年2月 | 1980年2月 | 0ヶ月 |
1980年11月 | 1981年8月 | 9ヶ月 |
1990年7月 | 1990年8月 | 1ヶ月 |
2000年3月 | 2001年4月 | 13ヶ月 |
2007年10月 | 2008年1月 | 3ヶ月 |
– | 平均値 | 7.6ヶ月 |
景気後退入りしてから何ヶ月で株価の底値をつけたか
次の表は、景気後退入りしてから何ヶ月で、株価が底をつけたかです。
このデータでは、景気後退入りが判明してから、どのタイミングで株を買いに行っていいかを見ます。注目するのは、サブプライムローン・リーマン・ショック時の2008年1月に景気後退入りして2009年3月で株価の底をつけるまで最大14ヶ月かかっている点です。
次の景気後退がリーマン・ショック級のものにならないと予想するなら、景気後退入りしてから14ヶ月待って株を買いに行けば、ほぼ安全かと思われます。(が、投資はあくまで、最終的にご自身の判断で行って下さい。)
(B)景気後退入り | (C)株価のボトム | (C)-(B)の期間 |
---|---|---|
1960年5月 | 1960年10月 | 5ヶ月 |
1970年1月 | 1970年5月 | 4ヶ月 |
1973年12月 | 1974年9月 | 9ヶ月 |
1980年2月 | 1980年3月 | 1ヶ月 |
1981年8月 | 1982年8月 | 12ヶ月 |
1990年8月 | 1990年10月 | 2ヶ月 |
2001年4月 | 2001年9月 | 5ヶ月 |
2008年1月 | 2009年3月 | 14ヶ月 |
– | 平均値 | 6.5 |
過去の景気後退時の下落率は
こちらは景気後退入り前の株価のピークから、景気後退後の株価の底値までS&P500がどの程度下落したかを示したものです。
このデータの使い方は、説明不要ですね。
「リーマン・ショック級の景気後退が来た場合には、57%も下落するんだ。おー怖い!」と、自分の株が6割弱下落しても精神的に耐えられそうか、想像するのに使います。
「今の状態から6割も下落したらキツイな」感じるようであれば、景気後退前に現金化するなり、国債・債権などを買うなり、より価格変動が少ない資産に資金を移したほうが良いかもしれません。
(B)景気後退入り | (A')ピークの株価 | (C')ボトムの株価 | 株価の下落率 |
---|---|---|---|
1960年5月 | 60.62 | 52.2 | 13.9% |
1970年1月 | 109.09 | 70.94 | 35.0% |
1973年12月 | 120.71 | 60.96 | 49.5% |
1980年2月 | 118.66 | 94.23 | 20.6% |
1981年8月 | 141.96 | 102.2 | 28.0% |
1990年8月 | 369.68 | 294.51 | 20.3% |
2001年4月 | 1552.87 | 794.1 | 48.9% |
2008年1月 | 1576.09 | 666.79 | 57.7% |
– | – | 平均 | 34.2% |
景気後退前の株価のピークから、後退後の株のボトムまでの期間は
最後の表はそれほど、使いことが無いかもしれません。景気後退前の株価のピークから、景気後退の株の底値までにかかった期間の長さをまとめたものです。
この表を使うのは、景気後退に備えて株の一部を現金にしたり、債権に買い替えて、株の下落を待っている人向けのものです。私もこの記事を書いている、今この瞬間は次の景気後退に備えて、株の一部を売って景気後退を待機しているわけですが、待っている時間というのは本当に長いです!!
何もやることもなく、本当に長いです!!!暇でしょうがいない上に、資金はあるのでついつい株を買いたくなる衝動に襲われます。
そんなときに、見るのが下の表です。理想的なタイミングで株から資金を退避させるなら、株価のピークで売って、株価の底値で株を買い戻すことですが、過去の景気後退をみると平均で1年2ヶ月株を買うのを待たないといけません。
なので、まだ早く株を買いたい衝動にかられたとしても、のんびり待ったほうが良いですよということを下の表は教えてくれています。
(A)株価のピーク | (C)株価のボトム | (C)-(A) |
---|---|---|
1959年7月 | 1960年10月 | 1年3ヶ月 |
1968年11月 | 1970年5月 | 1年6ヶ月 |
1973年1月 | 1974年9月 | 1年8ヶ月 |
1980年2月 | 1980年3月 | 1ヶ月 |
1980年11月 | 1982年8月 | 1年9ヶ月 |
1990年7月 | 1990年10月 | 3ヶ月 |
2000年3月 | 2001年9月 | 1年6ヶ月 |
2007年10月 | 2009年3月 | 1年5ヶ月 |
– | 平均 | 1年2ヶ月 |