イギリスが心配ですね。リセッション(景気後退)のリスクが出てきました。
既に低迷している製造業や建築業に加えて、サービス業までもが前年よりも縮小していることを示すデータが出てきました。
サービス業の景気を示す景気指数は経済の縮小の判断となる節目の50を下回る49.5でした。事前のエコノミストの予想の50.3を下回る結果になっています。
リセッションの恐れが出てきたイギリス
調査の責任者のIHSマークイットのウィリアムソン氏によれば、イギリスは2019年の第3四半期は前期比でGDPマイナス0.1%に落ち込むと見ているようです。
“At current levels the surveys point to GDP falling by 0.1% in the third quarter which, coming on the heels of a decline in the second quarter, would mean the UK is facing a heightened risk of recession.
現時点の調査では、GDPは第3四半期に0.1%落ち込むと示している。これはイギリスにリセッションのリスクが高まっている事を意味しています。(ウィリアムソン)”
まだ、第3四半期にマイナス成長に落ち込むときまったわけではありませんが、マークイットの調査通りにマイナス成長に落ち込むと割とインパクトが大きな出来事になります。
既にイギリスは2019年の第2四半期にGDPマイナス成長に落ちいているため、もしも第3四半期もマイナス成長が続けば、2期連続になります。一般的なリセッション(景気後退)の定義は2期連続のマイナス成長です。つまり、イギリスにもリセッションの恐れが出てたことになります。
2019年第2四半期がマイナス成長に陥った時の記事:
景気後退にリーチがかかったイギリス。4-6月期GDPは予想外のマイナス0.2%成長。
イギリス低迷の理由
イギリスの低迷は、理由は詳しく説明する必要もなくユーロ離脱が今後どのような展開になるのか見えないことです。
イギリスは国民投票でユーロを離脱することは決まっていますが、離脱後のユーロ圏との人やモノの移動(関税など)の取り決めがイギリスとヨーロッパ諸国で合意できないまま、期限の日付だけが刻々と迫っています。
一番の混迷はアイルランドとイギリスの北アイルランドとの国境の問題です。陸続きのアイルランドと北アイルランド(イギリス)は、今は同じユーロに属する国なので税関や国境なく行き来できるのですが、イギリスがユーロから離脱するとそうは行かなくなります。
しかしアイルランドと北アイルランドは領土を巡って30年紛争が続いた過去があり、国境管理を厳すれば暴動が起きる可能性があります。なので、アイルランドもイギリスも北アイルランドの国境管理は今のままで厳しくしたくありません。
ところが、アイルランドの国境だけ税関を設けないと、関税の抜け穴ができてしまうので北アイルランドだけ特別視できない事情があります。
一番の争点である北アイルランド巡って対処法が見つかないので、イギリスとEUの間で協議がまとまらず、結果、離脱後のイギリスの通商が不透明になって、企業はイギリスへの投資をさけ、雇用も減り、製造業もサービス業までもが低迷しているようです。
ちなみに、イギリスのユーロ離脱予定日は10月末です。このままユーロと協議の合意できないまま離脱するのか、それともそれともユーロと再交渉をするために再度離脱日が延期されるのか、今月にも何かしらの決断がされるターニングポイントに来ています。