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金利引下げで株価は上昇するのか。UBSは悲観的な見方を提示。

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株の基本的なセオリーとして「金利が下がれば、株価が上がる」というものがあります。

過去のデータからだけでなく、(ちょっと難解ですが)ちゃんと理論的にも説明できることです。

【中級者向け】割引率って何?金利が下がると株価が上がる仕組みとは。

もちろん中央銀行が金利を引き下げの景気対策をするということは、世の中の景気が悪くなっていることが背景にあるので、「金利引下げが引き起こす株高」と「景気悪化が引き起こす株安」の綱引きの結果で、残念ながら株安が起こることも十分あります。

しかし、景気後退が起こるよりもだいぶ前に金利を引き下げることで、株高に成功した例が過去に何度かあります。

2019年はアメリカの景気がまだ良いにも関わらず早めに利下げをしたことで、株高になるのではないかと期待も高まるところなのですが、その期待にUBSが水をさすような発言をしています。

2019年の利下げでは、90年代の時のように株高につながらないかもしれないというのです。

90年代の利下げ時の株高とは一体どんなものだったのでしょうか。

また、なぜUBSは2019年の利下げでは株が上がらないと考えているのでしょうか。

98年は0.75%の利下げで株価が50%上昇

まず、UBSが言及した1990年代の利下げ時の株高の例として、98年の利下げを例にあげたいと思います。このときは、「利下げが株高に効く」ということが、綺麗に実現された年でもありました。

98年は逆イールド現象と呼ばれる不況の前触れのシグナルが発生した直後、アメリカ国内の景気は悪くない中で中央銀行FRBが早々に利下げ決めています。(ここは2019年と似た状況ですね。)

【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。

98年10月に利下げを開始した際には、S&P500は約1,000でしたが、その後11月までの短期間に合計0.75%の利下げを実施してから、2年弱の間、景気後退を免れたことがありました。

この時、最終的には2000年の景気後退前にS&P500は1,500を超えるまで株価が上昇しています。利下げから株価のピークまでの上昇率は50%を超えていました。

2019年のFRBパウエル議長も1998年と同様の展開を狙っているのではないかと、市場で多くの人が言っています。

つまり、世界的に景気がおかしくなりってきて逆イールド現象も発生している中、アメリカの景気が崩れる前に早めに利下げをすることで、数年間の間景気後退を遅らせて株高にもする展開を目指しているのではないかと言われています。

そして、この数日で市場10月にも利下げをするのではないかとの予想を強めていて、予想通りに10月も利下げを実施すれば、98年同様に0.75%の利下げが実現されます。

UBSが利下げの効果に弱気な理由

そこで気になるのは、2019年も1998年のような株価の大幅な上昇局面が起こるかです。しかし、UBSは90年代のような株価の上昇が起こる可能性は低いと悲観的な見方をしています。

その理由は、景気が悪くなったらFRBが金利を引き下げることを、市場や消費者が既に見越しているのではないかということです。

その証拠に、アメリカ経済の見通しは既に悪くなっているのに、消費者は依然として景気に楽観的だと言います。UBSによればこれは、景気が悪くなったらFRBがなんとかしてくれることを見越しているからだと言います。

残念ながら、現在の株価にどんな材料が既に反映されているのかを知る術はありません。少なくとも私は知りません。

2019年6月にFRBが利下げを匂わせて株価が急回復してものの、たしかに7月末と9月の2回の利下げをした後は、それほど株が動いていないのは気になります。少なくとも2回分の利下げは6月に既に織り込んでいたか、米中の貿易戦争の過熱が利下げ効果を吸い取ってしまったかのどちらかです。

UBSは、「金利の株高効果」が「景気悪化の株安」との綱引きに勝った90年代ではなく、むしろその綱引きに負けた2000年や2007-08年のような展開に近いとみているようです。

個人的には、景気後退は不可避ながらもこの数年以内に株高の局面が来ると思ってその予想の記事も書いていたのですが、さてどのような結果になるでしょうか。

予想した内容はこちら:今後のアメリカを中心とした世界経済で起こる9つのこと。


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