10月初日は下落からスタート
10月始めのアメリカ株式市場は下落から始まりました。S&P500は一晩で1.23%下落しています。
別に大した下落では無いのですが、市場が反応した悪材料は結構重要だと思っています。
下落の要因はアメリカ製造業の景況感の悪化です。製造業の役員たちは8月から9月にかけて、さらに景気が悪化したと見てるようです。
そして問題は、この製造業の景況感の悪化は歯止めがかかっていないことです。ついに10年ぶりの低水準にまで悪化しています。
アメリカ製造業指数、10年ぶりの低水準
毎月始めに発表されるアメリカ製造業役員の景況感アンケートの結果をまとめたISM製造業指数は、予想外の悪化をしています。
このISM製造業指数ですがグラフ化してみると、結構鮮明な傾向が見れます。こちらです。
じゃーん。
おむすびを投げたら、コロコロとよく転がりそうなきれいな下り坂ですね。
この指数の見方として50を下回ると景気の悪化を示しますが、これで前月に引き続き2ヶ月連続の50を下回ることになりました。
この低迷の主な原因は、海外からの受注です。海外受注の指数は50を大幅に下回る41で、2009年3月以来の低水準になっています。
貿易戦争などの影響を受けた世界の貿易取引量の減少がここでも反応しているようです。
この発表後に、トランプ大統領はドル高のせいでアメリカ製造業が貿易で苦戦していると見ているようです。そのドル高を是正するためには中央銀行FRBが政策金利をもっと引き下げるべきだと、FRBを批判しています。
As I predicted, Jay Powell and the Federal Reserve have allowed the Dollar to get so strong, especially relative to ALL other currencies, that our manufacturers are being negatively affected. Fed Rate too high. They are their own worst enemies, they don’t have a clue. Pathetic!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 1, 2019
市場の金利予想とFRBの金利予想は、この数ヶ月で似通ったものになって、ちゃんとコミュニケーション取れつつ有るのですが、大統領だけはもっと下げてくれよと懇願しているようです。トランプ大統領は、だいぶ欲しがりなようですね。
大統領選の前に景気を下げたくないためか、中国との強気に貿易交渉をするためには景気が強くなくてはいけないためか、もしくはその両方でしょう。
今後は個人消費や非製造業への影響に注視
市場は恐れているのは、製造業の悪化から、他の非製造業や個人消費への影響です。
アメリカの製造業はアメリカの経済の10%程度の規模しか無いので、製造業単体の景況の悪化はそこまで大したものではないです。しかし、ISMの調べでは製造業の雇用指数も前月47.4から46.3へと悪化しているので、雇用の悪化から個人消費の悪化や非製造業の悪化につながるとアメリカの景気が下降し始める可能性があります。
このあたりの影響が出ているかどうかは、今週のアメリカ雇用統計に変化が出ているかで確認することになりそうです。