経済指標の便利なグラフ化サイトFRED
「アメリカの経済指標や金融データをグラフ化したい」
投資をしていると、株価だけでなくGDP成長率や、政策金利をグラフ化したいと思うことがあります。この記事では、そんなときに役立つ無料のサイトFREDの使い方を紹介します。
一度、調べ方さえ知っておけば、「こんなグラフを見たい!」と思いついたときに、サクサクと手が動くようになるはずです。
逆イールド現象の推移を確認する
まず、逆イールド現象って何だという話だけ触れておきます。現象としては、アメリカの長期国債の利回りの数字から短期国債の利回りの数字を引き算した値がマイナスになってしまうことを言います。
これが発生すると、1-2年後には不況が訪れていることから、景気後退の前兆と言われている重要な指標です。
【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。
10年と3ヶ月米国債の逆イールド現象を確認する
こちらはよく見られているデータなので、クリックひとつでグラフが表示されます。
10-Year Treasury Constant Maturity Minus 3-Month Treasury Constant Maturity(T10Y3M) – FRED
上のURLをクリックすると、10年国債と3ヶ月国債の利回りの差が表示されます。マイナスになっている時期が、逆イールド発生時期。さらに、景気後退時期は、グラフ上でグレーに色が塗られて表示されています。
こんな感じですね。
これを見ると、逆イールド現象(値がマイナスになる時期)が発生した後に、グレーの領域の景気後退が訪れていること、さらには逆イールド現象発生から約1-2年の間には景気後退時期が来ていることが解ります。
10年と2年米国債の逆イールド現象を確認する
先程の10年と3ヶ月の米国債の逆イールド現象はFRBがよく使いものですが、市場参加者がよく見ている逆イールド現象は10年米国債と2年米国債の利回りの差の逆イールド現象です。
それを見たい場合は、こちらをクリックします。
10-Year Treasury Constant Maturity Minus 2-Year Treasury Constant Maturity(T10Y2Y) – FRED
逆イールドを政策金利の関係をグラフ化してみたい
さて、この逆イールドの発生に合わせて、どのようにアメリカ中央銀行のFRBは政策金利を変更していったのか、その推移を見たいこともあるかと思います。そんな場合には、逆イールド現象のグラフに政策金利のデータを重ねて表示して見てみることにしましょう。
手順1:グラフの編集ボタンを押す
逆イールド現象のグラフ(こちらのURL)を開き、画面右上のオレンジのEdit GRAPHボタンを押す。
手順2:データを検索して追加する
アメリカの政策金利のグラフを追加するため、「ADD LINE」のタブを開き、”Federal Funds Target Rate (DISCONTINUED) (DFEDTAR)”と入力します。
その後「Add data series」ボタンを押せば、グラフにデータが追加されて表示されます。
ちなみに、ここで追加した”Federal Funds Target Rate (DISCONTINUED) (DFEDTAR)”は2008年までのデータしかありません。
2008年以降の政策金利も表示するためには、アメリカ政策金利目標値(上限値)”Federal Funds Target Range – Upper Limit”とアメリカ政策金利目標値(下限値)”Federal Funds Target Range – Lower Limit”を必要に応じて追加してください。
追加後は以下のようなグラフができあがります。
手順3:必要に応じて、グラフ設定を変更
GDP成長率と金利であれば、ともに単位は%(パーセント)なのでこれでグラフは完成です。
しかし、もしもGDP成長率とS&P500のデータなど単位が異なる場合には、両軸グラフにしないといけません。
その場合は、下図のように「FORMAT」タブからrightを選択すれば、そのデータは右軸に変更されます。
軸の設定以外にも、グラフの線の太さや、色も変更できます。なれてきたら、色々と試してみて下さい。
おまけ:データダウンロードの方法
中には「いや、グラフはどうしてもエクセルで作りたいから、データだけダウンロードしたい」という方もいると思います。そんな人向けに、画面右側にダウンロードボタンがついてます。
これで貴重なデータをダウンロードし放題ですね。
応用編
FREDを活用すると、色んな指標同士の関係を見ることが出来ます。
以下の記事では、「銅と金利」、「銅とGDP」の関係を調べていますので、あわせてご覧ください。
銅は景気の先行指標になるのか、実際に試してみた。
銅は景気の先行指標としてよく使われると聞きます。ざっくりいうと銅の価格が高ければこれから景気が良くなると言われ、銅の価格が低くなると景気が悪くなると言われます。なので、実際に銅の価格の変化を見れば、GDPや10年米国債利回りやさらにはS&P500などの株価の変化が予見できそうなのかを調べてみました。
用語集
ここまでやってみた中で、「実は追加したデータを検索する能力が大事なんじゃないか」と思われた方、ご明答です。
日本人が英語で検索しなければならない上に、似たような指標のどれを使ったら良いか判断に迷うところがあるので、とってもよく使う代表的なものを下に列挙しました。
検索コードをクリックすれば、その指標のグラフを見れるようになっていますので、ご活用下さい。
調べたい項目 | 検索コード |
---|---|
SP500 | SP500 |
ダウ工業平均 | DJIA |
アメリカGDP成長率 | A191RL1Q225SBEA |
米国個人消費 | PCEC96 |
米国長期金利 | DGS10 |
アメリカ政策金利目標値(2008年まで) | DFEDTAR |
アメリカ政策金利上限値(2008年以降) | DFEDTARU |
アメリカ政策金利下限値(2008年以降) | DFEDTARL |
長短金利差(10年米国債と3ヶ月米国債) | T10Y3M |
長短金利差(10年米国債と2年米国債) | T10Y2Y |
期待インフレ率 | T10Y2Y |
FRB資産額 | WALCL |
アメリカ政府の負債(GDP比率) | GFDEGDQ188S |
米国企業の負債(GDP比率) | BCNSDODNS / GDP |
米国企業の利益(税引き後) | CP |
米国企業のキャッシュフロー | CNCF+ W976RC1Q027SBEA |
米国企業の債務償還年数*1 | BCNSDODNS/(CNCF+ W976RC1Q027SBEA) |
注1:債務償還年数とは、企業がキャシュフローの何年分の債務を負っているかを表したもの。
この表以外にも、「カテゴリー検索」や「よく使われるデータ一覧」で追加できるデータを確認できますので、慣れてきたらこちらもあわせて使ってみて下さい。