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グーグルの自動運転Waymoが大きくリード。自動運転開発競争に終止符か。

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2019年6月3日更新:自動運転車の生産量倍増を目指したテクニカルセンター建設、自動運転のセンサー販売、Lyftとの自動運転配車サービス提携など最新ニュースを反映しています。


1歩も2歩も先をいくGoogleの自動運転車Waymo

少々早いですが、自動運転技術の開発競争はすでに勝負がついている可能性が高いです。そのトップに立ったのは、やはりGoogleでした。

Googleの親会社アルファベット傘下で自動運転車を開発しているWaymoが2018年末に世界初の自動運転配車サービスを開始してから、2019年には自動運転車の生産能力を2倍に高めるための工場建設や、自動運転の安全性を高める上で最重要であるセンサーの販売をはじめるなど、他社に先駆けて自動運転の拡大に向けた次のレベルへと駒を進めています。

また、米国の当局からレポートや調査会社によるレポートでも、2019年に入ってから軒並みランキング1位を奪取しており、安全性でも技術面でも高い評価を得ています。

2018年末から2019年にかけて、メディアで報道されたWaymo関連ニュースを見ても、快進撃ぶりが伺えます。

Waymoアリゾナ州で自動運転配車を開始

2018年12月5日、Waymoは世界初の自動運転による配車サービスアプリのwaymo oneを発表し、アリゾナ州フェニックスでサービスをスタートさせています。

使い方は、有人のタクシー配車サービスのUberやLyftと同じく、アプリで乗車位置と目的地を指定するだけで、自動運転車によるタクシーが配車される仕組みになっています。

乗車したら、後はボタンを1つ押すだけ。自動運転がスタートして、目的地まで運んでくれます。

カリフォルニア州の自動運転に関するレポートで、Waymoが1位に

自動運転で一番の懸念事項にあげられるのは、その安全性です。2019年2月13日にカルフォルニア州当局が発表した2018年の自動運転車の安全性に関するレポートでは、Waymo社が他社に比べて圧倒的に高い安全性を示していることがわかりました。

カルフォルニア州は自動運転の公道のテストの許可を与える条件として、各会社に走行データをレポートする義務を課しています。その中で報告する重要な数字の1つに、自動運転モードを解除しなければならなかった件数があります。

カルフォルニア州が集計したレポートによると、Waymoの1,000マイル(1600km)あたりの自動モード解除数はわずか0.09回で1位の安全性をしてしており、2位のGMの0.19回の2倍以上の性能を示しているほか、アップル(同871回)やウーバー(2608回)を圧倒していることがわかりました。

2018年実績 1000マイルあたりの自動運転モード解除回数 自動運転車(台数)
Waymo 0.09 111
GM Cruise 0.19 162
Zoox 0.52 10
Nuro 0.97 13
Pony.AI 0.98 6
Nissan 4.75 4
Baidu 4.86 4
AIMotive 4.96 2
AutoX 5.24 6
Roadstar.AI 5.70 2
WeRide/JingChi 5.76 5
Aurora 10.01 5
Drive.ai 11.91 13
PlusAI 18.40 2
Nullmax 22.40 1
Phantom AI 48.20 1
NVIDIA 49.73 7
SF Motors 90.56 1
Telenav 166.67 1
BMW 219.51 5
CarOne/Udelv 260.27 3
Toyota 393.70 3
Qualcomm 416.63 2
Honda 458.33 1
Mercedes Benz 682.52 4
SAIC 829.61 2
Apple 871.65 62
Uber 2608.46 29

Waymoが1年間で記録した1,000マイルあたりの自動運転モード解除回数が0.09回の安全性とは、18,000kmを走行して初めて、自動運転モードが解除され、運転手がハンドルを握らなければならない状況が生まれることを意味しています。(※自動運転モード解除=事故が起こることではありません。)


さらに、Waymoの自動運転を高く評価しているのはカリフォルニア州だけではありません。Navigant社は毎年独自の調査で、自動運転開発を手がける世界中の企業をランキングしていますが、2018年度の評価でWaymoは首位を奪取しています。

Navigant Researchは、自動運転システムを開発する大手20社を対象に、2018年末時点の戦略と実績に関する10の指標で評価をして調査結果を発表しています。10の項目は、「ビジョン」「市場参入戦略」「パートナリング」「生産戦略」「テクノロジー」「販売・マーケティング」「製品の機能」「製品の品質・信頼性」「製品ポートフォリオ」「将来性」に関するもので、これらの企業のグローバルな自動運転市場における客観的な評価を提供することを目的として、採点されています。

  • 1.Waymo (グーグル自動運転開発部門からスピンオフした企業)
  • 2.GM Cruise (2016年GMが買収した自動運転システム開発企業)
  • 3.Ford Autonomous Vehicles (フォード)
  • 4.Aptiv (旧称デルファイ・コーポレーション)
  • 5.Intel-Mobileye (インテルが2017年に買収したイスラエル企業)
  • 6.Volkswagen Group (フォルクスワーゲン)
  • 7.Daimler-Bosch (ダイムラー・ボッシュ)
  • 8.Baidu (バイドゥ)
  • 9.Toyota (トヨタ)
  • 10.Renault-Nissan-Mitsubishi Alliance (ルノー・日産・三菱3社連合)

Waymo、自動運転車を量産化へ動き出す


そして、Waymoは既に自動運転車の量産に向けて、工場の建設に動き出しています。2019年1月23日にWaymoは、ミシガン州で工場の建設許可を得たと発表しています。ミシガン州でもデトロイトで世界初のレベル4の自動運転車を量産する工場を建設すると述べているほか、3月自動運転車のさらなる量産のためにアリゾナ州での新テクニカルセンター開設も発表しました。

このテクニカルセンターは85,000平方フィートもの敷地を面積を誇り、2019年後半にオープンすればWaymoの自動運転車の生産能力は2倍になります。このテクニカルセンターにより、Waymoは自動運転開発で他社を引き離したい狙いです。

Waymo、自動運転車の精度を握るセンサーを外販化へ


また、Waymoは自動運転車を量産させるだけでなく、安全な自動運転の実現に欠かせないセンサーを他社に販売する動きも見せ始めています。このセンサーは運転手の「目」に相当する自動運転実現の鍵をにぎる技術で、waymoは長年独自開発をしてきたものになります。

高度な自動運転技術を有するWaymoは、量産化した後の車社会でキーとなる技術を握りに来ている印象すらあります。

Waymoが全米2位のタクシー配車会社Lyftと提携発表


2019年5月7日、WaymoはLyftとの提携を発表しました。まず最初のステップとして、今後数ヶ月以内にLyftに10台の自動運転車を提供し、フェニックスエリア内の乗客に対して、Lyftの配車アプリからWaymoの自動運転車を選択できるようにすることを目指しています。

前述のようにWaymoは独自の自動運転配車アプリのWaymo Oneを既に提供していますが、今回の提携の発表により、自社のアプリで独占的にWaymoの自動車を占有することなく、自動運転をタクシー配車サービスを提供するLyftの配車ネットワークとユーザ基盤を活用しながら、自動運転を市場に拡大していくことになります。

近年のWaymoは基本スタンスとして、自動運転技術を自社囲い込むことよりも、市場の拡大を優先させています。これは、独自開発したセンサーを他社に売り始めたことからもわかるように、いち早く自動運転を実用化して世の中に広げ、市場を拡大を通じて自社の売上をいち早く大きくする戦略に見えます。

Waymoの高性能の鍵は、Googleの人工知能技術

Waymoの自動運転だけが抜き出て高性能なのは、他社よりも圧倒的に膨大な自動運転の走行を行ってきたことにあります。自動運転は人工知能で精度が向上しますが、人工知能は大量のデータを学習させればさせるほど、賢くなる性質があるからです。

しかし、注目すべきは自動運転を賢くするために集めた自動運転の走行データのほとんど全ては、シミュレータでの試験で生み出したものだということです。

2018年10月時点でWaymoは1000万マイルを公道で試験走行していますが、同じ時点でシミュレータでの走行距離は70億マイルを超えていたそうです。

自動運転の安全性のために、自動運転の人工知能に学習させる大量の走行データを生成する必要があると気づいたGogoleがWaymoのために膨大なマシン環境を確保し、さらに世界一と言われる人工知能の専門家たちがWaymoのために自動運転学習モデルを作ったことは想像に固くありません。

さらに、こうした大量の走行データの高速学習ができるようにGoogleは人工知能用のチップを開発して、自動運転を賢くさせてきました。

さて、2009年1月に「Google自動運転車プロジェクト」として始まったグーグルの取り組みは、約10年かけてようやく実用化にこぎつけました。その間、目覚ましい人工知能の技術発展を自ら起こしながら、まだ誰も突破していない壁を破り続けて、前進してきた技術者たちには頭が下がるばかりです。


参考記事:Waymoが10年かけて自動運転を開発した様子をこちらのサイトで紹介しています。
Google傘下のWaymo、商用自動運転車を目指した10年の軌跡。(NEWS CARAVAM)


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