年初来リターンがマイナスに転じたネットフリックス
さすがに、売られ過ぎな気がしてきます。でも、まだしばらくは売られるとも思っています。
Netflixは2019年に入ってから一時期は46%ほどあったリターンを全て吐き出して、2019年のリターンがついにマイナスに落ち込みました。9月23日には年初来-0.65%となっています。
何を隠そう私も2019年に保有していたネットフリックス株を全て売却しているのですが、動画配信サービスでトップを走るあのネットフリックスがこれだけ売られるのは意外です。
ネットフリックスが売られる理由
主な売られている理由はライバルの存在です。2019年は次々とライバルたちが動画ストリーミングサービスに参入してくるだけでなく、ライバル会社から提供を受けていたコンテンツの配信を止められていることで、投資家がネットフリックスに弱気になっています。
- ディズニー、アップル、AT&Tなどライバルが次々と動画ストリーミングサービスに参加していること。
- 特に、ディズニーの動画サービスDisney+は毎月6.99ドル、AppleTV+は4.99ドルと価格をネットフリックスのスタンダードプラン12.99ドルよりも格安な設定したこと。
- ライバル達が提供するコンテンツ(ディズニーのマーベル作品など)が次々とネットフリックスへの配信を停止。
- ディズニー+やApple TV+がサービス展開前の2019年4-6月期の決算で既に、ネットフリックスはアメリカの会員数減少を発表。
アメリカでのサブスクリプション数(会員数)が減少に転じている点は、投資家としてはかなり大きなマイナス要因に見えているはずです。
しかし、個人的にはネットフリックスは今後も割としぶとく、動画ストリーミングサービスの王座を守っていくと思います。
ネットフリックスを強気に見ている理由
ライバルの参入で、確かに2019-2020年は会員を奪われたりと苦しい戦いを強いられる気がしていますが、結局は数年経って動画ストリーミングサービスの競争が落ち着くと、「なんだかんだ言いながら、動画ストリーミングサービスはネットフリックス」という図式が残っていそうです。
私がネットフリックスを強気にみる理由は、コンテンツの量です。
動画配信サービスでユーザ離脱を防ぐコツ
動画配信サービスを毎月契約してもらうためには、ユーザから飽きられないことが重要になります。そのためには、次の2つが重要になります。
- 繰り返し見られるコンテンツを作る(ディズニー作品などファミリー向けコンテンツが強い)
- 大量のコンテンツを生み出し続ける(ネットフリックスが特に注力)
上の2番目に上げた次々と新規のコンテンツを生み出していく力は、ネットフリックスは桁違いに大きいです。このコンテンツの量がネットフリックスの武器になると思います。
桁違いに大きいネットフリックスのコンテンツ制作能力
動画コンテンツにかけている投資額は120億ドルから130億ドル(1.4兆円)とも言われています。途中で40億ドルに増額したようですが、あのアップルでもオリジナル動画にかける予算は当初10億ドルと言われていました。ネットフリックスは文字通り桁違いです。
そして、2018年に作られたネットフリックスのオリジナルコンテンツは850作品で、合計1500時間にも登ることが分かっています。全部見ようと思うと、毎日4時間もネットフリックスを見ないといけないことになります。
ディズニーやアップルは11月に動画ストリーミングサービスの提供を開始しますが、ディズニーのボブ・アイガーCEOはネットフリックスにはコンテンツの量でかなわないことをハッキリと認めています。
アップルの1年間無料サービスはコンテンツ拡充のための猶予期間
ディズニーが制作する作品であれば、同じ作品であっても何度も繰り返し見られる傾向があるので、ディズニー・マーベル・スター・ウォーズ作品などファミリー向けコンテンツを配信するディズニープラスは、低価格ならば生き残れると思います。
しかし、サービス開始時点でコンテンツの数は極端に少なく、その質も未知数なAppleTV+は、かなり苦戦をすると思われます。
AppleTV+を4.99ドルと低価格に設定しただけでなく、iPhone、iPad、Apple TV、Mac、iPod touchを買ったユーザに1年間無料視聴サービスを開始したのは、アップルが「まだコンテンツの質・量とも十分ではないけど1年間は大目にサービスを使ってほしい」というメッセージにも思えます。
動画サービス新規参入者はユーザを繋ぎ止められるか
つまり、19年から20年にかけて動画配信サービスが乱立して、一時的にネットフリックスからユーザが離れて新規サービスに移っても、結局は新規サービスのコンテンツの質・量が十分でないと、ユーザは次第に飽きてしまうと思っています。
そこで、再度注目を集めるのは、新規コンテンツを大量に生み出し続けるネットフリックスの存在です。
新規の動画ストリーミングサービスの評価が定まるまでの数年はネットフリックスは苦戦し、株が売られる展開が続きますが、数年後にもう一度ネットフリックスが再評価される機会があるとも思っています。
なので、今のネットフリックスの株価下落はまだまだ続きますが、まだまだネットフリックスの株価が浮上するチャンスが数年以内にあるとも思っています。