劇的な変化です。9月18日アメリカは政策金利を決めるFOMCが開かれますが、1ヶ月前まで市場は100%で利下げを予想していました。
アメリカは中国との貿易交渉を巡って対立を深めていて、景気に悪影響があるリスクが高かったため、金利を引き下げで事前にアメリカの景気を引き上げる必要があると考えている市場の声が大半でした。
その予想が手のひらを返したように変わりつつあります。
9月13日には、金利を引き下げないとする予想が20%を超えて上昇したとこのブログでも記事にしましたが、FOMC直前の市場調査では金利現状維持の予想はさらに拡大して45%まで上昇しています。
市場予想が急変。9月にFRBが金利引き下げないと予想する投資家が急増中。
急激に変化した市場予想
以下は、9月13日時点の市場の金利予想です。9月18日のFOMCで、金利を据え置く市場予想は20.4%でした。
一方、FOMC直前の9月17日では、金利据え置きの予想が45.8%まで上昇しています。
ほとんど、五分五分といって差し支えないまでに、予想が拮抗しています。
背景にあるのは、米中の貿易問題での歩み寄りと原油価格の上昇
こうした背景には、9月に入ってから米中の貿易問題の歩み寄りと、原油価格の上昇があるように見えます。
1.米中の対立の緩和
8月まで貿易問題で対立を深めていた米中が、9月に歩み寄りを見せてきたことから、制裁関税がアメリカの景気減を招く懸念が交代していることが挙げられます。9月18日からの実務レベルの米中の貿易交渉を前に、アメリカと中国が歩み寄りを見せたことで、安心したことも大きく影響しているようです。
トランプ大統領、2020年大統領選前後で中国との貿易合意を示唆。
2.原油価格の上昇
また、サウジアラビアの石油会社サウジアラムコの施設がイエメンの武装勢力に破壊され、原油の生産能力が半減する事件が起こり、原油価格が上昇の兆しをみせたことも金利予想に影響している可能性があります。
事件後、原油価格は落ち着きつきを取り戻しつつありますが、今後も原油価格が上昇するようならば、エネルギー価格だけでなく、生活のあらゆる物価も同時に引き上げられる効果があります。
FRBは今まで利下げを行ってきた際に、目標の2%に届かない低調なインフレ率を上げていましたが、そうなると利下げの理由の一つをFRBが失うことになります。
また、現状、まだまだアメリカの景気が好調を維持していることから、様子見でも良いのではないかとの論調も広がっています。9月FOMCで金利を維持すれば、10月の米中貿易協議の結果も、中東の緊張もどの程度原油価格に影響するのか見極めることが出来るという考えです。
さて、FRBの判断はどのようなものになるでしょうか。注目の発表は9月18日、日本時間の27時です。