どうしてGoogleアシスタントで儲かるの?
先日から立て続けに、”OK, Google”や”Alexa,天気教えて”でお馴染みの音声アシスタントの話をしてきました。
上の2つの記事では、モノとモノがつながるインターネットの時代では、最終的にあらゆるモノは音声アシスタントでコントロールする時代が来ることを紹介しました。また、そんな時代に向けて、グーグルが一歩リードしていると私は考えています。
さて、ここまででどうやら次の時代は、音声アシスタントがトレンドになりそうなことはわかったけど、そんなものをやってGoogleもアマゾンも儲かるの?と思われるかも知れません。
結論からいうと、これらは莫大な利益をもたらします。
どうして、音声アシスタントが儲かるのか。音声デバイスが儲かる仕組みを次の2つに分けて説明します。
- サービスの価値は、ユーザの数で決まる
- 音声アシスタントのユーザ数と利用頻度は今後爆発的に増える
サービスの価値はユーザの数
ものごとって何が価値を生むかって言ったら、簡単なんですよ。人が求める数だけなんですよ。
(武井壮)
これは、タレントで百獣の王の武井壮さんの言葉です。武井壮さんは、陸上10種競技で日本チャンピョンなるほどにその道を極めた実力者だったのですが、30歳前半でテレビに出る前は生活に困窮していました。一方で、ステージ上で会場をどっと沸かせる芸人と出会って飲んでいるうちに、自分と何が違うのかに気づいたといいます。
10種競技は日本一を決める試合でも会場がガラガラだけど、お笑いはたくさんのファンが見に来ている。どれだけ儲けられるかの価値は、どれだけ人に求められるかなんだと。
“武井壮 大人を育て方”
武井壮さんのyoutube動画は全部見ると30分かかりますが、大人も学生も必見の内容です。特に、日頃から価値あるものを見極めようとしているこのブログの読者には刺さると思います。お気に入り登録をして、時間がある時に見てみて下さい。
さて、本題に戻ります。ものの価値はユーザの数だという話をしましたが、それでもまだ音声アシスタントが儲かる実感がわかないかも知れません。なぜならば、Googleアシスタントは、スマホで無料でダウンロードできるアプリでも提供されている機能だからです。
でも、GoogleもAmazonも広告を手がける会社です。広告業にとって、ユーザ数はダイレクトに価値なります。
例えば、googleアシスタント搭載端末は2019年1月末で10億台を超える見込みですが、これら全端末に一斉に広告を出せるとしたら、膨大な広告料を得ることができます。
実際にラジオ広告のようなに何秒も音声を流されたらユーザは邪魔でしょうがないので、コカ・コーラのCMの最後に流れる”ミ・ド・レ・ミ・ド♪”やマクドナルドの”i’m lovin’ it”くらい短い、ブランド音だけ流すことになるかもしれませんが、それでも、億単位のユーザに宣伝できるブランド効果は高いです。
(注意:実際に、音声アシスタントで広告ビジネスをする予定があるかどうかは私は知らないです。あくまでも、「ユーザ数が多ければ、価値を生むのも簡単だ」という一例を示したかっただけです。)
そういえば、2019年のお正月には、今をときめくZOZOの前澤社長が”お年玉”と称して、ツイッターをフォーローした人の中から、100人に100万をプレゼントする企画をして、フォローワーを一気に増やしたことが話題になりました。
「フォローワーの数をお金で買った」と話題になりましたが、前澤さんはフォローワーの数が価値であることに気づいていたからこそ、お金を出してでも”お年玉”企画を実行したんでしょう。
音声アシスタントのユーザ数と利用頻度は今後爆発的に増える
音声アシスタントがなぜ多くの人に使われているようになるかは、すでに上に紹介した記事でお話しましたが、ポイントをまとめると以下の2点です。
・モノがインターネットにつながる時代が到来し、音声アシスタントはモノをコントロールする役割として日々使われるようになる。( IoTって何?モノとモノがネットにつながるメリットより)
・そのためには、コンピュータが人の声を認識できる技術が必要だが、ようやく実用的なレベルにまで到達した。(次のトレンドは音声アシスタント、その頂点に立つのはGoogle。より)
投資判断で気をつけるべきリスク
さて、「たくさんの人が使うサービスは価値がある」&「どうやら音声アシスタントはこれから人々に使われるようになる」。だから、音声アシスタントはこれから価値が出て、儲かるという話をしてきました。
そして、これらの音声アシスタントをリードしているのが、グーグルとアマゾンです。私が、グーグルとアマゾンを長期的に保有しようとしている理由の1つでもあります。
しかし、音声アシスタント目当てに投資をする上で気をつけたい点(リスク)が2つあります。
- 音声アシスタントは、少なくとも5-10年は利益を生まない
- 音声アシスタントで利益を出すタイミングで、ユーザが解約する恐れあり
まだまだユーザ拡大期の音声アシスタント
まず、リスクの1つ目ですが、この音声アシスタントが利益に貢献するのは少なくとも5年から10年は先のこと、つまり早くても2020年代半ばだと考えています。
サービス提供から利益を出すまでにじっくり時間をかけるのは、近年のインターネットの傾向ですが、音声アシスタントももれなくこの流れに乗っているからです。サービス提供時は「まず赤字覚悟で、何年もかけてユーザを増やし」、「ユーザが増加が落ち着いてきたら、儲けを出す」という流れです。
たとえば、定額制の動画配信サービスのネットフリックスは2007年に従来のDVDレンタルサービス事業から、現在の動画配信サービスに切り替えますが、ユーザを次々増やしていく段階では、赤字覚悟の安値で設定して、今までケーブルテレビでテレビや映画を見ていた人々を取り込んできました。そして、直近では2018年8月と2019年1月15日に短期間に立て続けに値上げを発表するなどして、ようやく値上げをする時期に移行しはじめましたが、ここまで10年の歳月をかけています。
また、アマゾンも2005年にアメリカでアマゾンプライム(有料会員サービス)を開始して、2018年には全世界で1億人を突破したと発表しました。10年以上の月日をかけて、アメリカでは近年アマゾンプライムの価格を年々あげて年会費は約13,000円まで上がりましたが、実は日本では3,900円で、値上げが進んでいません。
そして、Googleアシスタント無料で提供しているように、音声アシスタントは種を今巻いている段階です。まだまだ利益を出すまでは、時間がかかり、少なくともこれから5-10年は利益に貢献しないことを投資家はリスクとして考慮する必要があります。
つまり、10年以上保有するつもりの長期投資家くらいしか買う理由にはならないです。
失敗が命取りの値上げのタイミングと金額
また、無料や低価格でユーザ拡大を順調に進めてきた企業が、もっとも難しい決断を迫られるのが、「いつ、どれくらいの金額を値上げするか」です。
値上げをしたとしてもユーザに解約されないほどに、ユーザにサービスが浸透していてる必要がありますが、この値上げの時期と金額を失敗すれば、せっかく拡大してきたユーザ数を大きく落とすことになりかねません。
このあたりの難しさは、有名ブロガーのちきりんさんも記事にしています。
(日付はなんと2012年の記事です!どれだけ先見の明があるのでしょうか。)
最近の記事で音声アシスタントをリードするグーグルとアマゾンを推してきましたが、リスクとしてまだまだ利益に直結しない段階であることと、値上げ段階でつまづく可能性もあることの2点を留意の上、投資判断の参考にして下さい。