アメリカの景気後退は本当に来るのか
2019年が始まる頃から、私はこれから景気は悪くなるという姿勢をとってきました。
しかし、既に秋も近づいて朝晩の風が涼しくなっているというのに、アメリカ経済にはその気配はまだ近づいていません。
直近の経済指標を見ても、ハッキリとした兆候ができるものは少なく、「アメリカに景気後退は本当に来るのか」「懸念だけで終わって、実際には景気後退しない展開もあるのか」という疑問が、ちらちらと頭に浮かぶようになりつつあります。
アメリカ景気後退リスクやや弱まったのか
世界最大のヘッジファンドのブリッジウォーター・アソシエーツレイを率いるダリオ氏は、2019年と2020年でアメリカで景気後退が起こる確率は25%だとブルームバーグのインタビューに答えたようです。
米国のリセッション確率、今年と来年で25%とダリオ氏は予想(ブルームバーグ)
1ヶ月ほど前は大統領選前に景気後退入りする確率は40%とおいていましたが、その当時よりもアメリカ景気後退の時期が後ろにズレると見ているのでしょうか。もしくは、景気後退リスクが弱まったと見ているのか気になるところです。
レイ・ダリオ「2020年大統領選前に景気後退する確率は40%」
依然として数字に現れてこないアメリカの景気後退
また直近に発表された経済指標は、アメリカの景気の力強さを印象づけるものが多かったです。
ADP雇用統計では、アメリカの予想以上の雇用の強さが見られた他、サービス業などの非製造業の購買担当者のアンケート調査(ISM非製造業指数)も事前予想を超えました。
景気後退の気配を感じさせない底堅さを見せた、2019年8月米ADP雇用統計。
多くの経済指標で2018年よりも、成長が鈍くなっているのは見えます。しかし、目に見えて「悪化している」といえるものはアメリカの製造業関連の指標(ISM製造業指数や製造業PMI)くらいです。
アメリカ製造業の悪化、重要指標ISM製造業指数は3年ぶり50割れ。
アメリカに景気後退は本当に来るのか
アメリカの景気後退は本当に来るんでしょうかね。
私は遅かれ早かれアメリカの景気後退が来ると思っているのですが、経済指標にはっきりとした兆候が見られないと、自分の判断が誤っているのかと、ふと考えてしまいます。
私は既に株を半分程度売っているので、景気後退が来ないことがある意味リスクになっています。「なんだ景気後退しないなら、100%株を持っていればよかったじゃないか」という展開です。
景気後退が来ないとはっきりと判断できるなら、自分の判断が誤りだっと認めて、さっさと株を買い戻せば良いだけなので簡単です。ジョージ・ソロスも「自分はしばしば間違えるが、重要なのは間違えた時にどう対処するかだ」というようなことを、口にしていました。
しかし、現実はそんなに簡単な話ではなさそうです。
問題は、現時点でいろんな要素がリスクとして存在していて、「景気後退が来ない」と確信できる気配がないことです。なので、いつまでも「自分の判断が誤りだった」と認めるタイミングが来ないまま、株価がスルスルと上がって、機会損失をしそうです。
思いついたものを上げるだけでも、現段階のリスクとしては、これだけのものがあります。
- アメリカ製造業の景況感の減速に歯止めがかかるか。
- 堅調なサービス業が堅調のまま、アメリカ経済を牽引できるか。
- 9月、10月、12月に引き上げあられる米中の関税が、アメリカ経済にどの程度影響するか。
- イギリスのユーロ離脱とヨーロッパの製造業の不振が、アメリカ経済にどの程度影響するか。
これらが全部解消することはないのでしょうが、現段階ではまだまだリスクオンの状態になれる気がしません。
なので、株を売却した直後に覚悟したように、向こう1年から2年は市場平均を下回っても、今の防衛的な姿勢を取るしかないのかなと思っています。
数年後になるかも知れませんが、本当はどのタイミングでリスクオフに切り替えるべきだったのかを検証したほうが良さそうです。ずいぶんと学びの多い2019年になりそうです。