モルガン・スタンレー、成長株の売却を促す
モルガン・スタンレーが、株に悲観的な姿勢を見せています。2019年9月3日(月)には顧客に対して、成長株を捨てて、債権などのディフェンシブな資産を持つようにアドバイスしているようです。
今まではJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチなど顧客にアドバイスを送る企業は、8月末から9月初旬にかけて「株の買い場が来た」と宣言するなど強気の姿勢に出る一方、USBウェルス・マネジメントなど顧客から預かった資金を運用する企業は株に弱気な姿勢をとる傾向がありました
株の買い場が来たと宣言したJPMとバンカメ。株を減らしたUBS。プロでも評価が別れた理由。
しかし、モルガン・スタンレーはアドバイスを送る側でありながら、かなり株に関しては悲観的です。
モルガン・スタンレーはアメリカが9月と12月に中国に課す関税は消費者に直結する製品が多く、アメリカのGDPで70%を占める個人消費の需要にダメージを与えかねないとして、ディフェンシブな投資を顧客に勧めています。
具体的には、成長著しいグロース株を売り、債権などでリスクを回避する動きを推奨しているようです。発言の内容をまとめてみます。
- グロース株を手放して、ディフェンシブな投資に切り替えるべし。
- 米中貿易戦争が消費者心理を押しつぶすにつれて、ディフェンシブな債権投資は今後グロース株を10%上回るようになる。
- 9月1日以降アメリカが発動させる第4弾の関税は、消費者に影響があるものが多い。米国GDPの70%を支える個人消費や需要を圧迫する。
モルガン・スタンレーの見方は一貫して悲観的
モルガン・スタンレーは2019年のアメリカの景気について、一貫して悲観的なストーリーを描いてきました。
「FRBが2019年夏に利下げを開始しても景気後退は免れない」と発言したり、「2020年3月にもリセッション(景気後退入り)がありえる」と過去に発言していました。
モルガンスタンレー、19年夏の利下げ実施でも景気後退は不可避か。
2020年3月にリセッション入りの可能性(モルガン・スタンレー調べ)
またそもそも、米中の貿易協議が締結されても、アメリカの景気は曲がり角に来ていてリセッション入りする兆候があり、貿易戦争はその時計の針を早めているだけだとの意見も持っています。
詳細はこちら:【原因と結果】米中貿易戦争終結でも米国はリセッション入りするのか。
さすがに2020年3月の景気後退入りは、もはや実現しなさそうですが、個人的にはモルガン・スタンレーの発言は自分の意見に近く、しっくりきます。
今回たまたま私が株を売って、国債を購入したタイミングも8月の最終金曜日で、週明けにモルガン・スタンレーが顧客に成長株の売却を勧めているところを見てても「何か気が合うな」と感じます。
投資スタイルによって正解は変わる
今回のモルガン・スタンレーの発言は、たまたま私の考えに親しかったですが、おそらく人によっては全く賛同できない人もいると思います。
実際、株を半分ほど売った私ですら、2019年9月の今が株価のピークだとは考えていません。景気後退入りまではまだ1年程度あると思っていますし、この1年間の間のどこかでスルスルと今以上に株価が上がっても不思議ではないと思います。
なので機動的にある程度タイミングよく株の売買をできる人は、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの言うように今が買い時なのかも知れないと思います。
しかし、相場の変化に機敏に対応するのが苦手な人、リスクを多く取りたくない人は、モルガン・スタンレーの言うように早めにディフェンシブな銘柄・国債・債権に切り替えるのが良いと思います。
JPモルガンのほうが正しいとか、モルガン・スタンレーのほうが正しいとか言うことではなく、投資家の投資スタイルと取れるリスクによって、正解は変わる気がしています。