たぶん、たぶんですよ。今の世界的な景気がイマイチなのは、中国が原因なんじゃないかなと勝手ながらに思い始めています。
投資しているアメリカ株をいつまでに売ればいいのか知りたくて、かれこれ3ヶ月くらい毎日アメリカと世界の経済のニュースを見ては、ブログを更新して考えをまとめてきました。
アメリカの悪くなり始めるのは2020年下半期以降らしいと検討がついてきましたが、同時に見えてきたのは今回の世界的な景気減速は中国の景気が原因ではないかということです。
「中国の景気がいまいち調子が出ない」と考えると、ドミノ倒しのように綺麗に次々とストーリーが展開できます。
- ドミノ1:中国、一人っ子政策の影響で働き手が減って景気低迷
- ドミノ2:中国、国内がダメなら貿易だと言って、輸出を増やし輸入を減らす
- ドミノ3:中国と貿易をする世界の国、中国への輸出で伸び悩む
- ドミノ4:輸出に頼る韓国・ドイツなどの工業国からマイナス成長になる(現在)
ドミノ1:中国、一人っ子政策の影響で働き手が減って景気低迷
中国はかつての一人っ子政策の影響もあって、2012年から15歳から64歳の働き手の人口が減っています。(働き手世代の人口のことを生産年齢人口と言います)
皆さん、学生時代よりも社会人になったときのほうが使うお金の額が増えましたよね。
働く人が減ること自体はそこまで問題ないのですが、働いている人は普通はたくさんお金を使うので、働く人が減ると国全体でお金を使わなくなり、不景気になりやすいのです。
実際に、日本とアメリカも生産年齢人口が減り始めて2年後に歴史に残る大きな不景気に直面しています。
国 | 生産年齢人口ピーク | 不景気 |
---|---|---|
日本 | 1989年 | 1991年(バブル崩壊) |
アメリカ | 2005年 | 2007年(サブプライム) |
中国 | 2012年 | – |
ドミノ2:中国、国内がダメなら貿易だと言って、輸出を増やし輸入を減らす
アメリカや日本と違って生産年齢人口のピークを迎えてから数年たっても、中国はまだ不況だとは言われていません。これは中国は国をあげて景気対策をしているからなのですが、それでも中国国内の景気はとても弱くなっています。
どうして中国国内の景気が弱くなっているのがわかるかというと、中国のGDPにちゃんと書いてあるからです。
GDPは(国内で生み出す富)と(貿易で生み出す富)の合計を計算したものですが、中国のGDPの国内分が見る見る間に下がっています。
国内 | 貿易 | GDP成長率(国内+貿易) | 目標値 | |
---|---|---|---|---|
18年1Q | 8.1% | -1.3% | 6.8% | 6.5% |
18年2Q | 7.5% | -0.8% | 6.7% | 6.5% |
18年3Q | 7.1% | -0.6% | 6.5% | 6.5% |
18年4Q | 5.9% | 0.5% | 6.4% | 6.5% |
19年1Q | 4.9% | 1.5% | 6.4% | 6-6.5% |
19年2Q | 5.0% | 1.2% | 6.2% | 6-6.5% |
※Qは四半期のことです。例えば1Qは第一四半期を意味します。
上の表で、国内の列を見てください。明らかに減っていますよね。これが中国国内が景気悪くなっているといえる証拠です。
でも、なんだかんだ言いながらGDPは事前の政府目標値を毎回のようにクリアしています。
そのからくりは貿易の増加にあります。GDPは(国内で生み出した富)と(貿易で生み出した富)の合計なので、国内が不調なら、貿易で挽回すればGDPは下がらないのです。
GDP = (国内で生み出す富) + (貿易で生み出した富)
18年後半から中国の(貿易で生み出した富)が明らかに増えています。 (貿易で生み出した富)は輸出から輸入を引き算して計算します。
GDP = (国内で生み出す富) + (輸出 - 輸入)
中国はGDP目標値を達成するために、輸出を増やして、極端に輸入を抑えることで、なんとかしようとしているように見えます。
ドミノ3:中国と貿易をする世界の国、中国への輸出で伸び悩む
中国の習近平政権は自分の代でGDP目標が達成できずに、中国の長期的な経済計画が未達成になることだけは避けたいはずなので、2018年から輸出を増やして輸入を減らし始めたのですが、そうなると余波を受けるのは、今まで中国に輸出していた国です。
今まで中国に製品を輸出してた国が、今度はピンチになりました。
ドミノ4:輸出に頼る韓国・ドイツなどの工業国からマイナス成長になる
さて、中国へ大規模な輸出を行っていた国・地域はどこでしょうか。
こちらの図を見てみるとヨーロッパと韓国は中国への輸出が多そうです。
韓国はGDPに占める貿易の割合が大きかったので、中国が韓国からの輸入を絞ったことで大きなダメージを負っているようです。
参考記事:韓国の輸出13%減少の背後にある、中国の景気減速。
またヨーロッパの中でもドイツは、フォルクスワーゲンがもともと中国販売シェア1位だったりとドイツの経済を支えている自動車産業が中国に依存している構図もありました。
実際に、ドイツの直近のGDP成長率を見てみましょう。こちらです。
ばらつきはあるものの、18年から減速している様子が見えてきます。
中国のGDP作戦の転換以外にも、2018年第3四半期には米中貿易戦争で制裁関税が初めて発動されたこともあり、ドイツは米中貿易戦争の影響を間接的に受けている可能性もあります。
しかし、中国の国内の景気がつまずいていることを起点に整理すると、今世の中で起こっていることが綺麗に1つのストーリーでつなげることが出来ます。
なので、最近の世界的な景気の減速は、中国の影響が強いのではないかなと考えています。