減税を考え始めたトランプ大統領の心の内
ポンペオ米国長官は2020年の大統領選までには米中の貿易戦争は終結するとの見解を示していましたが、大統領選の2020年11月までにアメリカの景気が腰折れしないかは、世界中の投資家・経済界の人々は心配していることでもあります。
ポンペオ国務長官、米中貿易交渉は大統領選までに合意の見通し。
そして、大統領選前の景気腰折れを一番恐れているのはトランプ大統領かも知れません。トランプ大統領の心の中を想像して、覗いてみましょう。
- 中国との貿易交渉合意はまだしばらく時間がかかるかも知れない。
- 合意まで続く制裁関税でアメリカの景気が悪化したら、2020年の大統領選に悪影響が出てしまう。
- 頼みの綱のFRBは、言うとおりに大きな利下げをしそうな気配がない。
- となれば、自分で景気刺激策の減税をやるしかない!
というわけで、「そうだ。減税をしよう!」となったかどうかは知りません。ただ、最近トランプ大統領はやたらと減税にご執心なさっておられる様子です。
すぐに何かしらの減税を行うという意味ではないと、再三強調していますが、各メディアに対して減税について語っています。
トランプ米大統領、減税の可能性を検討 米中摩擦「必要だった」(ロイター)
トランプ大統領、議会承認なしでキャピタルゲイン減税を命令可能(ブルームバーグ)
トランプ大統領の発言から見えてくる減税の構想
トランプ大統領の減税に関する報道でをまとめておきます。
- 今すぐ減税するわけではないが、キャピタルゲイン税と給与税の税率引き下げの可能性を検討した。
- キャピタルゲイン税は株・不動産を売った時に発生する利益にかかる税で、引き下げれば富裕層に恩恵がある。
- 専門家いわく、トランプ大統領が構想する物価連動のキャピタルゲイン税率が実現すれば、かなりの減税効果が得られる。
- トランプ大統領は議会を通さずに、キャピタルゲインの課税方式を変更できると認識を示す。
- ただし、議会を通さない税の変更は議会反発を招くことが必須の様子。
- 一方、給与税の引き下げは「ずっと前から検討している」とメディアに発言するにとどまる。
給与課税よりも、キャピタルゲイン課税の議論が先に出ていることも資本主義の国だと感じます。景気拡大中のはずのアメリカですが、初期段階ながら議論を進めていることを公に明かすのは、減税実現までに時間がかかること知っているからでしょう。
トランプ大統領は2018年から2027年までの10年間で1兆4,560億ドル規模の税制改革を実現させアメリカの景気を押し上げましたが、それには長い時間を要した経験があります。
次の不況を乗り切る鍵を握る、大幅減税
さて、次来る景気後退ですが、おそらく中央銀行主導の景気対策だけでは不十分になる可能性が高いです。
アメリカよりもずっと金利を下げているヨーロッパが低調な経済から抜け出せない様子を見ても、ずっと多くの量的緩和を実施している日本を見ても、中央銀行だけでは景気の下支えに限界があることは明らかです。
各国もそれをわかっているからか、2019年8月になってから様々な国で、政府の経済対策の議論が急に活発になってきています。
大規模な金融緩和だけでなく、これらの大規模な経済対策をいち早く実施できるかが、次の不況を乗り切るポイントになりそうです。