貿易交渉、大統領選までに合意
ポンペオ米国務長官は、CEOや経済学者が集まる40名ほどの昼食会で、中国との貿易戦争は2020年の大統領選までに終結するとの見方を示したようです。
ポンペオ国務長官は中国との貿易協議では表立って交渉しているメンバーではありませんが、貿易協議で先導を務めるムニューシン財務長官とほぼ毎日のように討議をしていて、状況を常に注意深く見ているとようです。
ポンペオ国務長官は内部に詳しい人間と言えども、交渉は人と人のやり取りなので、解決する時期は参考程度に見ておくのが良いかも知れません。
なので仮定の話として、もしもポンペオ国長官の言う通りに米中貿易協議の合意が次の大統領選の2020年11月までに解決したとした場合ですが、貿易協議合意までに今から1年もの間の時間がかかることになります。
・・・長いですね。アメリカは輸出依存度が低いので持ちこたえられるかも知れませんが、なんとも言えない絶妙な時期だと思います。レイ・ダリオは大統領選まで40%で景気後退と言っていますが、本当にどっちに転んでもおかしくないような展開です。
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一方で、今すでに経済が苦しくなっているドイツなどの輸出依存度が高い国には明らかに1年は長いです。
もしくは貿易戦争前からゆるやかに始まっている国内の景気の減速を国がなんとかカバーしてきた中国も、9月と12月に追加関税を発動されれば、1年持ち堪えられない恐れもあります。
仮定に仮定の話を重ねて恐縮ですが、アメリカよりもその他の国が先につまずくようなら、次の景気後退は次のように波及することになると思われます。
- 輸出企業や製造業の業績悪化
- 海外売上比率の高い企業の業績悪化
- その他のアメリカ企業の業績の悪化
それぞれの段階で失業率が徐々に上昇して、それにつられてGDPの7割を占める個人消費も減っていくと思われますが、まだ失業率は過去最低の水準でその傾向は見えていません。
実は製造業の景況指数も非製造業の景況指数も3年ぶりの低水準に落ち込んではいるのですが、まだ雇用には影響が出ていない程度の成長の鈍化だと言えます。
4ヶ月連続の下落、ISM製造業指数はついに3年ぶりの低水準へ。
ついに非製造業にも影響が波及か。ISM非製造業指数は3年ぶり低水準。
逆に、失業率が上がり始めると、アメリカでも各方面で動きがざわつくはずです。まだまだアメリカは景気後退はしないとは思いますが、引き続き、毎月1回の雇用統計には注意深く見ていきたいと思います。