ファーウェイとの取引禁止猶予の延長が決定
一部製品に限り、ファーウェイとの取引できるようにしていた取引禁止の猶予期間は90日延期される見通しとなりました。
先日、トランプ大統領は「ファーウェイとの一切の取引を望まない」と発言していたことから、猶予期間は期限の8月19日で失効されるかと思われましたが、11月19日まで90日間延長されることになりました。
トランプ大統領の発言とファーウェイ禁輸猶予の詳細はこちらを参照:
トランプ大統領「ファーウェイとの一切の取引を望まない」
ファーウェイと取引禁止措置は、ファーウェイのスマホを使うユーザに対してセキュリティなどの重大な影響が及ばないように、グーグルの製品などの一部のみファーウェイとの取引を認めるようにしている措置でした。
この延期をしなかった場合には、米中のさらなる関係の悪化の可能性もあっただけに、ひとまず胸をなでおろす展開になりました。
延長決定も、米中関係の対立は鮮明
しかし、おおかたは穏便に事が進んだようにも見えますが、細かいところでアメリカが規制を強めてきている箇所もあります。
米国のロス商務長官はファーウェイとの取引禁止猶予の延長と同時に、ファーウェイ関連会社46社を安全保障上の懸念がある企業リストに追加したと発表しています。これにより同リストにアップされて取引制限がかかるファーウェイ関連企業の数は、100社を超えたようです。
またロス商務長官は今回延長した猶予期間についても「(ファーウェイとの関係を)断つためにもう少し猶予を与える」と発言をするなど、穏やかならぬ表現をしています。
今回の猶予期間延長の適用外になる製品でファーウェイと取引がしたいアメリカ企業は、政府に特別ライセンスの交付を申請することになっていますが、既に2019年7月の時点で申請数は50を超えていたといいます。
しかし、ファーウェイ禁輸猶予の延長を発表したこの日、ロス長官は許可を出した申請は一つもないことを明かしました。
結局のところ、一部の製品でのファーウェイとの取引禁止猶予期間は延長されたものの、米中の緊張緩和にはつながっていない模様です。むしろ猶予実施はそのまま継続しつつも、発言や制限企業リストへの追加などを見るに取り締まる内容がわずかに強化されている印象があります。
ファーウェイとの取引禁止措置の終着点は
ちなみに純粋な疑問なのですが、ファーウェイの禁止措置には、米中ともに和解できる着地点はあるのでしょうか。
アメリカがファーウェイとの取引を禁止している理由は、貿易協議が難航していることへの制裁ではありません。ファーウェイ製品が不正な技術情報取得やスパイに使われていた疑惑があるための措置です。
この問題が厄介なのは、ファーウェイ製品が不正に関与していると信じているアメリカはファーウェイ製品の制限を解くわけがないですし、中国はファーウェイの不正を認めるわけがないので、自体がまるで進展する気配がないことです。
6月の米中首脳会談後には、アメリカ側がファーウェイ製品を精査して安全保障上問題ない製品に対して取引を認めるような姿勢も見せましたが、今ではその動きもなくなっています。
悲観的なストーリーとしては、ファーウェイ製品で安全保障上問題ない製品などない場合が考えられます。この場合はアメリカは全ファーウェイ製品の取引禁止を継続しなければならず、中国もアメリカが米中首脳会談で約束したファーウェイ取引禁止解除が行われないと不満をもち、貿易協議も膠着状態に陥る恐れがあります。