米中の対立で緊張感が漂っていた今年の夏ですが、ようやく一息つけるかも知れません。
9月1日から発動が予告されていた関税が一部が12月15日に延期、一部は中止になりました。これを受けてニューヨーク市場は大きく反発しています。
アメリカも中国も本心では貿易戦争の激化を望んでいないため、9月1日から発動は回避される見込みがあると読んでいましたが、一部だけではあるものの12月延期と中止が発表され、読みはあたりました。
私の投資行動としては、株の売却ペースを早める必要はなくなったと考えています。引き続き、緩いペースで株の売却を進めます。
関税延期までの経緯
トランプ大統領は7月末に再開した米中貿易協議が進展をしなかったことから、9月1日から3000億ドルの中国の輸入品に対して10%の関税を課すと警告をしていました。
予想外に短かった休戦。トランプ大統領9月から新たな追加関税を示唆。
しかし、この発言から中国は人民元安やアメリカ産農産物の輸入禁止で対応するなど両者の対立は激化。世界中で株が大幅に売られる動きが起こっていました。
ドラマ「米中貿易戦争 2019夏」を見逃した方におくるダイジェスト。
こうした激化の一途をたどる中で、貿易協議の米中の代表が電話会談をして2週間以内に再度電話会議を実施する約束を取り付けるなど、交渉の動きも見せ始めています。
そして今回、予定していた9月の関税発動の一部延期と一部中止が発表されました。
9月関税発動の延期と中止
12月15日に関税発動が延期された製品は携帯電話、PCとPCモニタ、テレビゲーム機、一部のおもちゃ、一部の靴と服などです。また一部の製品は安全保障上などの理由から関税発動を中止したようですが、その対象について当局からの明言はありませんでした。
延期の理由について、トランプ大統領は「クリスマスシーズンの商戦に配慮した」発言しています。が、これは本当の理由ではないでしょう。
もともと関税発動は中国の交渉を引き出すための材料として使っていたはずで、わずかでも中国の譲歩を引き出したか、もしくは想定以上に投資家の心理と企業の投資意欲を冷やしてしまったことへの配慮です。
ちなみに「12月15日ではクリスマス前なのでは?」と思われるかも知れませんが、11月最後の木曜日の感謝祭(サンクスギビング)からがクリスマスシーズンなので一定の配慮はされています。
この恩恵を受けるのは、アップル、半導体企業、NIKE、コールズ、ノードストロームなどです。特にアップルは毎年9月に新型iPhoneを発表し、中国で製造したiPhoneの大量輸入を行うためインパクトが大きく、株価はこの日だけで+4.23%上昇しました。
(※ただし、ワイヤレスイヤホンでシェアトップのアップルのAirPodは9月関税の対象のようです)
今後の投資行動
ただ、一方で12月15日の関税発動は再延期はない可能性のほうが高いです。中国は2020年のアメリカ大統領選で大統領が変わることを期待して交渉を長引かせているとトランプ大統領が懸念していて、交渉を長引かせたくないと考えています。
もともと9月から発動予定の制裁関税第4弾は6月に予定されていたものでした。9月も一部延期が発表されたので、12月も再々延期ともなると交渉カードとしての関税の威力はなくなってしまいます。
「どうせ、次の関税も延期でしょ」と思われては、元も子もないです。
追加関税が発動されたら売却を進めようと思っていましたが、私の投資行動としては株の売却ペースを早める必要はなくなりました。しかし、株の保有比率は依然として高いままなので、緩いペースで株の売却を進めようと思います。
12月までに株の資産をどの程度減らしておくかの判断だけはしておこうと思います。