夏の夜に火花が散っています。
中国政府の人民元安の基準値引き下げに対して、ナバロ大統領補佐官は「アメリカの追加関税の効力を和らげるための元安なら、アメリカは強い態度に出る」とバチバチの火花です。
この2つの国はわかりあえないものなのでしょうか。
そうであるなら、昨日、以下の記事で書いたように遅かれ早かれ景気後退は免れません。最近では長期投資家のジェレミー・シーゲル博士も、物言う投資家のカール・アイカーン氏も、アメリカの景気停滞の回避のためには利下げではなく、米中の貿易の対立を終わらせる必要があるとの考えを示しています。
ただ、9月1日からの中国に対するアメリカの追加関税発動の回避はまだありえる展開だと思っているので、8月末までに追加で株の売却はしないで、見守っていようと思います。
9月1日から関税が発動されたら、そのタイミングでほんの一部の株を売却予定です。金額は株の資産の10%にも満たない額を想定しています。まだまだアメリカ経済は持ちこたえる力強さがあると思っているので、売却は急がずに気長に進めようと思います。
ナバロ氏の牽制
今週2日続けて、中国は人民元の売買基準値を11年ぶりの安値の1ドル7元台に設定しました。これに対して、ナバロ大統領補佐官は強い反発を見せています。
予想していた通りに反応です。むしろ、この反応は1日遅いくらいでした。8月8日に中国が1ドル7元台に切り下げたときに、アメリカに強い刺激
を与えることは不可避だと思っていたのですが、この日はトランプ大統領がFRBにたいして強く利下げを迫ったとのニュースが大半で、対中国へのコメントは大きく報道されませんでした。
人民元、基準値11年ぶりの低水準1ドル7元台で米国への刺激は必須。
8月8日はトランプ政権が様子見をしたのかも知れません。
しかし、中国が2日連続1ドル7元台の基準値設定をしたところ、さすがに大統領補佐官からまずコメントが入ったようです。
最近はナバロ大統領補佐官-トランプ大統領のホットラインが出来つつある気がします。FRBに大幅な利下げを迫るときトランプ政権のメンバーの中でも、タカ派で高圧的な発言が多いナバロ氏がまず利下げを強く求め、翌日にトランプ政権がその内容に和をかけて発言するパターンが目立ちます。
FRBが市場に伝えるコミュニケーション方法ともよく似ています。6月にFRBが利下げを前向きに考えるようになった時に、利下げ推進派のセントルイス連銀がまずメディアに発言し、その翌日FRB議長もコメントをするという流れです。
9月1日追加関税発動のタイミングで株を売却
さて、気になるのはやはり9月1日にアメリカは本当に追加関税を発動するのかです。新たに3000億ドルの中国からの輸入品に対して、10%の関税を課すと示唆していますが、9月の米中貿易交渉に向けて米中が歩み寄りを見せれば、9月の貿易協議まで関税発動を回避するなどの一時的な回避策はまだあると思っています。
しかし、わずかながらに8月1週目はわずかな歩み寄りを途中で見せたのですが、結局、週後半は中国の連日の元安調整で対立を深めてしまいました。
既に、8月に入って直後にほんの一部の株を売却しましたが、9月1日で追加関税が発動されたら再度同じペースで売却を進めようと思います。それまで8月は事態が好転しても、暗転しても静観したいと思います。