Lyftに注目する理由
決算の内容に入る前に、Lyftに注目している理由についてお話します。
基本的に私は赤字企業の株を買いませんが、LyftとUberについては購入しても良いかも知れないと可能性を感じています。その理由は単純で、他の企業が参入しにくい構図(経済的な濠)ができあがっているからです。
既にLyftとUberはタクシーの配車アプリで全米の支配的な地位を占めていますが、みんなUberとLyftを使っていて、他の企業が参入しても既にUberとLyftにはかなわないという現象が起こっています。(ネットワーク効果と呼ばれる、利益を永続的に出す企業の一部に見られる現象です)
メッセージアプリのLINEのような現象ですね。
一度確立した移動サービスネットワークは、新興企業がこれから参入しようとしても、なかなか打ち破れない「城壁の周囲を囲む濠」のようにUberやLyftの売上・利益を長年守ってくれるはずなので、黒字転換したら強い会社だろうと思うのです。
詳しくは【初心者向け】バフェットも注目する経済的な濠とは何か。
そして、その黒字転換のターニングポイントになるかも知れない大きな変化がこれから5-10年の間にやってきます。自動運転の普及です。これにより、タクシー運転手への賃金が削減でき、タクシーの配車コストを著しく減らせる可能性があります。その時に、タクシーの配車ネットワークをもっている企業が強いと踏んでいます。
参考記事:UberとLyftどちらを買うのか問題。論点は自動運転にどう向き合うか。
今後10年以内に訪れるもう一つの大きな進化は「空飛ぶタクシー」の登場です。
参考記事:空をかける移動サービス– 2020年代の変化を見据えた投資テーマ(3)
Lyftに関しては、空飛ぶタクシーはまだまだ全然話に聞こえてきませんが、Uberにならって陸と空の2種類のタクシーの移動をスムーズにつなげて提供するサービスを、そのうち取り組みを始めると思われます。
私の今度のこの銘柄への投資スタンスは、赤字の時点ではLyftもUberも試し買い程度、収益が安定して黒字転換するか、または自動運転車の配車サービスの本格展開が見えてきたら、本格的に購入候補になりえると思います。
Lyft2019年2Qは予想外の売上増加
それでは、Lyftを注目する理由がわかったところで、2019年の2Q決算を見てきましょう。今期は予想以上の売上の好調さが垣間見えた決算でした。しかしながら、利益ではまだまだ赤字で、前年に比べたら利益率は改善しているものの、調整後利益では予想を下回ってしまいました。
- 売上:前年比+71.8%の8673億ドル。予想より$57.66Mドルを上回る。
- 一株利益:-$0.68。予想を0.32ドル上回る。調整後利益は-$2.32で予想より$0.56下回る
ただ、好調な売上から次期の2019年3Qのガイダンスの引き上げが発表されて、株価は+7%と躍進しました。2019年3Qの売上見通しは予想の$841.7Mを、大きく上回る$900-915M。利益見通しも予想-$336.8Mを大きく上回る-$190-210Mでした。
Lyftの決算をスライドで振り返る
Lyftのスライドはこちらです。
Q2 Fiscal 2019 Earnings – Lyft
左から前年比較の比較した売上上昇率、前年比較の調整後利益率の改善、キャッシュを表しています。売上上昇+72%は魅力です。またわずかながらに、利益も改善しています。
よくを言えば、もっと利益を上げて黒字化してほしいですが、今は会社として拡大期なので、投資先行なのは仕方ないです。
売上の推移を表しています。通常、こういうものは年単位で変化を見るのですが、四半期ごとに売上をグラフ化しても見栄えのある図ができるのは、成長著しいLyftならではです。
左から、利用者数と単価の年間成長率を表しています。いい感じです。
利益率と調整後の利益率です。赤字ながら、改善している様子が解ります。
最後は今後の決算の見通し(ガイダンス)です。一番右に以前Lyftが発表していたガイダンスがありますが、売上・利益ともにガイダンスを強気に設定し直した点が株主には評価されています。