予想通りの展開
7月のアメリカの雇用統計が発表されました。結果はほぼ予想通りの16.4万人増加、失業率は前月より0.1%悪化の3.7%でした。
米労働省発表雇用統計 | 5月発表 | 5月予想 |
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非農業部門雇用増加数 | 16.4万人増加 | 16.5万人増加 |
失業率 | 3.7% | 3.6% |
ほぼ予想通りなので「よかったですね」で終わらせることもできると思いますが、もう少し俯瞰的にこの1-2年程度の変化を見た時に、何かわかることは無いかと思いグラフ化してみました。
こちらです。
・・・何が言いたいのか全くわからないグラフができあがりました。このグラフから「わかることを説明して」と言われると、10人中10人は困ると思われます。
ここでは2つの尺度で見てみたいと思います。1つは最低限のボーダー、2つは好況時との比較です。
最低限のボーダーはクリア
雇用統計を見るときの目安で、雇用者数の増加が10万人を切るかどうかの1つの目安があります。10万人は労働人口の伸びを維持するために必要な値だから、とのいうのがその目安の根拠ですが、今回はそのボーダーラインはクリアしています。
こうしてみると月毎のバラツキの大きな雇用統計と言えども、直近の2年間でボーダーを下回ったのは3回しかないんですね。2019年は3月と5月にこのボーダーを下回る水準に落ち込んだことがありますが、今回はボーダークリアという点では、一定の評価ができると思われます。
好況時2018年の平均22.3万人増加は下回る
好況と言われていた2018年の米国雇用統計の月平均22.3万人増を基準に考えてみましょう。すると、今後は見える景色がやや異なってきます。
2019年7月は、2018年の平均値を下回っています。また、2019年にはいってから2018年平均を超えた月は1月と4月の2回しかないことも解ります。やはりこうしてみると、景気はゆっくりと下降線をたどっているのかも知れないです。
製造業を中心に労働時間の減少が見られた2019年7月の雇用統計
最後に1点付け加えると、2019年7月の雇用統計では製造業を中心に労働時間の減少が見られたそうです。一般的に労働時間の減少は、解雇や失業率上昇の前触れと言われています(雇用を絞る前に、今の従業員の労働時間を減らして、賃金を節約するからです)
それが見られたことが、やや今後の不安材料とも言えそうです。