通期の売上引き下げで、株価下落
Paypalの2019年2Q決算が発表されました。個人間送金アプリのvenmoなどでユーザ数を伸ばしているPaypalですが、今期は売上にやや難があったようです。
- 売上:前年比+11.7%の$43.1億ドル。アナリスト予想を0.2億ドル下回る。
- 1株あたりの利益:$0.86、アナリスト予想を0.03ドル上回る。
また、株価は時間外取引で-4%の下落をしましたが、2Qの成績よりも、2019年通期見通しの引き下げに反応したものと思われます。
ペイパルは2019年の通期の売上増加率見通しを14-15%に、通期売上高を最大178億ドルにそれぞれ引き下げています。引き下げの理由としては、製品の遅延、価格の変更、および為替面での圧力を下方修正の理由に挙げています。
この通期予想の引き下げで、アナリスト通期予想の179.2億ドルを下回ったことが売り材料になっています。
さて、私はPayPalを保有していないため普段から見慣れているわけではないですが、他の決済企業と比べた時に少し違和感のある2019年2Q決算でした。
違和感を感じたのは、以下の2つです。
- 送金アプリのvenmoなど流行りのアプリを提供しているにも関わらず、売上成長率が想定よりも低い。
- 決済事業にしては、営業利益率が低い。
低い売上成長率
1つ目の売上成長率については、個人間アプリでシェアを取り合っているスクエアがありますが、スクエアは売上成長率が40%ほどあります。
また、Paypalの+12%は、古典的なクレジットカード決済大手のマスターカードの売上成長+13%にも劣っています。製品の遅延や、価格の変更を理由に売上見通しを引き下げていますが、それにしても低い成長率です。
昨年までは23%の売上成長率があったようですが、2018年3Qから勢いを失っており、さすがに+12%まで下がってしまうと、マスターカードやビザでも良いという判断になりそうです。
低い営業利益率
2つ目の気になった点としては、決済事業にしては低い営業利益率です。マスターカードは58%、visaカードでは65%の営業利益率を確保していますが、Paypalは23.2%です。
まだ企業が拡大期にあるので、支出も多いのでしょうが、それならば先程も話しした売上成長率がもっと高くなってしかるべきです。
購入候補の銘柄にするかどうか見るために、決算書を読んでみましたが、今期の内容であればしばらくはPaypalよりもマスターカードやビザカードで良さそうです。
2019年2Q決算をスライドで振り返る
このスライドで注目なのは、左下のアクティブアカウント数と右下の総決済額です。新規アカウント数は17%アップの900万人で、合計アカウント数も2.86億人と利用者の二桁増加は素晴らしい数字です。
一方、総決済金額は前年比+26%増加の1720億ドルでした。売上増加も決済金額に比例していれば、+26%で魅力的だったのですが、そうならなかった理由は、利益率の低いサービスの利用額が多かったのか、それとも利益率を引き下げたかのどちらかでしょうか。詳細は決算資料からだけでは追えませんでした。
総決済金額の推移です。こちらはキレイに+26%で伸びています。利用金額は確実に伸びを見せています。問題はありません。
売上の発生元です。PaypalはもともとeBayに買収された後、再度スピンアウトして株式公開された歴史を持ちますが、最近ではeBayからの売上はやや減少気味のようです。(上図真ん中)。一方で、売上を伸ばしているのはタクシー配車アプリのUberやLyftなどプラットフォーマーとの提携で、年間+36%もの売上増加を叩き出しています。
上の図はモバイル決済の成長率です。当然ながら、モバイルは成長率が高いです。全体の決済の43%がモバイルである点も注目です。もちろんこの数字が高いほうが良いです。PCの前に人がいなくても、いつでもどこでも決済していることを意味するからです。
最後は国際決済についてです。この成長率はまだそこまで高くありませんが、これから成長が見込める分野なので、これからに期待です。