Libraのリリース延期と中止に言及
Facebookは2020年にリリースを予定している仮想通貨Libra(リブラ)が延期されたり、リリースされない可能性があるとコメントしています。
2019年6月のLibraのリリースを発表して以来、FRBパウエル議長やトランプ大統領などから厳しい批判と、厳しい規制を課す旨のコメントが相次いでおり、フェイスブックは適切な承認をもらい、規制当局の監視を受ける意志があることを明らかにしていました。
政府の法整備の遅れや承認の結果によっては、Libraの延期や中止が予想されていましが、フェイスブックは正式に延期や中止の可能性を認めたことになります。
フェイスブックは米証券取引委員会への文書で次のように書いています。
Libra has drawn significant scrutiny from governments and regulators in multiple jurisdictions and we expect that scrutiny to continue. In addition, market acceptance of such currency is subject to significant uncertainty. As such, there can be no assurance that Libra or our associated products and services will be made available in a timely manner, or at all.
Libraは複数の地域で政府や規制当局から重大な調査を受けており、その調査は今後も継続するものと予想している。加えて、そのような通貨が市場に受け入れられるかは不確実だと言えます。そのため、Libraやそれを使ったFacebookの製品・サービスが予定どおり公開される保証はありません。またそもそも公開できるようになる保証もありません。
ただフェイスブックの広報によれば、Libraのリリース前に政府との調整が必要になることも、それには時間がかかることもわかっていたと言います。だからこそ、いち早い情報公開のために2019年6月に発表をしたとも話しています。
「米国が行動しなければ、他の国に管理されたデジタル通貨がまもなくできる」
多くの有名米国企業が参加を募り、大きな経済圏もできあがるかに見えたLibraですが、政府によって停滞を余儀なくされそうです。
フェイスブックが主導して立ち上げようとしている仮想通貨Libraは、銀行などの送金・決済システムよりずっと早く・手数料も安く行えるため、実現できれば社会に画期的な変化をもたらすものです。
そして、これは技術なのでアメリカが主導しなければ、他の国や企業が次世代の決済システムを構築して管理するようになります。これは先日、フェイスブックのプロジェクト責任者のデビット・マーカスが警告していたことでもあります。
「フェイスブックがこの取り組みを米国で始めることを誇りに思う。デジタル通貨や決済分野でのイノベーションを米国が主導しなければ他国が主導するだろう。米国が行動しなければ他国に管理されたデジタル通貨が間もなくできる」(デビット・マーカス)
参考記事:Facebook「仮想通貨リブラは適切な規制を受ける」よりも重要なメッセージ
上の参考記事でも書きましたが、せっかくフェイスブックがアメリカの大企業の参加を募って、次世代決済システム構築の流れを作ったのにアメリカ政府ももったいないことをするものです。このLibraの減速の様子を見て、世界中では「我先に」と思っている他国の企業もきっといるでしょう。
Visaやマスターカードは、まだその座を譲らず
そして今回の一連の動きでわかったのは、仮想通貨・デジタル通貨と言われるものには、まだまだ世の中には受け入れられていないということです。
本当に仮想通貨による決済システムが使われるようになれば、Visaやマスターカードの売上は間違いなく減少するのですが、まだまだその心配はなさそうです。