アメリカの2019年第2四半期のGDPが発表されました。結果は2.1%でした。第1四半期の3.1%成長からは減速したものの、予想の1.8%を上回っています。
このGDP速報の結果によっては、7月末のFRBの政策金利の引き下げにも影響があるかとも思われましたが、市場は「この内容であればFRBの金利引下げは依然として100%実施する」と言わんばかりに、予想を変えませんでした。
強い個人消費が支えたGDPの減速にブレーキをかけた
- GDP: 2.1%。予想の1.8%を上回る。第1四半期は3.1%。
- 個人消費: 4.3%。予想の4.0%を上回る。第1四半期は1.1%。
- PCEコアデフレーター(前期比): 1.8%。予想は2.0%より低インフレ。第1四半期は1.1%。
※PCEコアデフレーターは聞き慣れないかもしれませんが、個人消費からインフレ度合いを算出した数字です。プラス幅が大きいほど強いインフレ。逆にマイナス幅が大きいほど強いデフレです。
GDPは2019年第1四半期は3.1%だったので、そこから見ると確かに成長は減速しています。2017年第1四半期以来の9四半期ぶりの低水準でした。
しかし、思ったほど減速していないというのが、率直な感想です。その思いはトランプ大統領ともシンクロしたのか、こんなツイートを残しています。
Q2 GDP Up 2.1% Not bad considering we have the very heavy weight of the Federal Reserve anchor wrapped around our neck. Almost no inflation. USA is set to Zoom!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 26, 2019
FRBという非常に大きな重しの制約を受けている状況を考慮すれば、それほど悪くはない。インフレはほとんどみられない。米国は『急成長』する見通しだ(訳:ロイター)
最近、企業の決算でも予想を上回ることが多いですが、恐らくその要因は予想以上に個人消費が強いことにあります。上の個人消費の伸びをみても、個人消費は4.3%で予想4.0%に対して0.3ポイントも上回っています。
市場の金利引下げ予想は変わらず
GDPの発表を受けても、市場は7月末でFRBが政策金利を引き下げる予想を全く変えていません。市場の多くは2.00-2.25%に引き下げられると見ているようです。
FRBが非常に重要視しているGDPも無事に超えました。翌週はいよいよ10年ぶりにFRBの政策金利引き下げがあるかが、最大の注目ポイントです。予想以上に米経済が健闘しているなかで、予想通り景気刺激策の利下げをするのか、そして7月以降も金利引下げをする可能性をにじませてくるかが気になるところです。