早いもので、もう4月が終わります。1年の3分の1が過ぎようとしています。
この4ヶ月の間で、少しアメリカ経済への見方も変わってきたように思います。ここでは、特にアメリカのインフレについて書いていきたいと思います。
この記事のポイント
- 多くの投資家が予想していたよりもアメリカのインフレはしぶとい。よって、FRBの利下げ開始までには長い時間がかかっている。
- また、インフレが再燃するかどうかについても余談を許さない展開になっている。
しぶといインフレ
2024年が始まる頃、私はアメリカのインフレはもっとすんなりと低下するものだと思っていました。
しかし、残念ながらアメリカのインフレ率が安定して2%に向かうまでには、まだしばらく時間がかかりそうだというデータがこの数ヶ月で上がってきています。
次のグラフの赤線は、PCEデフレータ・コアと呼ばれるインフレ率の前年比のデータです。これを見ると最近のインフレは下げ止まっているように見えます。
そして、注目なのは青線のPCEデフレータ・コアの前月比年率(直前1ヶ月のインフレの伸びが1年間続いた場合)のデータです。最近3ヶ月は安定して赤い前年比を上回っています。
つまり、2024年になってからのこの3ヶ月はそれまでに比べてインフレの伸びが加速しているようなのです。
この3ヶ月のペースがこれからも続くならアメリカのインフレは2%に向かって下がることはできなくなります。このインフレが目標の2%まで下がりきらないことが、今のアメリカの問題点です。
利下げ予想は2024年1回へ
インフレが下がらないなら、インフレ退治のための高い政策金利はまだ続くことになります。
高い政策金利は幅広い資産価格を引き下げる悪い影響があるので、この状況はあまり投資家にとって嬉しいものではありません。
今年のはじめには投資家待望の利下げがあるが何回もあると思われていたのですが、現時点で利下げはわずか1回になっています。
この政策金利の予想の修正がこの3ヶ月の一番の大きな変化だったのではないかと思います。
インフレ再燃への懸念
話はもう一度インフレに戻るのですが、アメリカのインフレは下げ止まるだけではなく再び上昇に転じることはあるのでしょうか。
気になっているのは、1970年代との類似性です。
次のグラフはこのブログでも何度か取り上げましたが、2021年から始まった今回のアメリカのインフレは1970年代に動きがとてもよく似ています。
一体なぜこのように動きが似ているのか理由がわからないままなので、上のデータをまだ信じるには値しませんが、私がわかっていないだけで強い理由があるのかもしれません。
インフレが再燃するとしたらそろそろあるかもしれないので、来月以降の数ヶ月(2024年半ば)は特にインフレのデータが上か下かどちらに向かうのかをしっかりと確認しておきたいと思います。