アメリカGDPの大半は個人消費が占めています。
よって、消費が伸びるかどうかがアメリカ経済が成長できるかを決める大事な要素になります。
個人消費の発表は月末にならないとわかりませんが、主にモノの消費を集計した小売売上高が発表されたので、確認していきます。
この記事のポイント
- 2月のアメリカの小売売上高は予想ほど伸びなかった。
- 最近ではインフレを含む名目値でも売上高の成長率が鈍化している。1月では一時的ではあるが前年比ゼロ%成長にまで鈍化した。
- 小売売上高は主にモノの消費が反映されている。モノの消費はいまいち伸びていないことがわかる。
予想ほど伸びなかった2月小売売上高
2月のアメリカ小売売上高ですが、あまり予想ほど伸びなかった印象です。
- 予想:前月比+0.8%
- 結果:前月比+0.6%
- 前回:前月比マイナス0.8%から同マイナス1.1%へ悪化
前回1月のデータがかなり悪かったので、その悪かった月からの反動で+0.6%(年率7.1%)と高い伸びを示していますが、それでも予想ほど伸びませんでした。
このデータはばらつきが大きいので、前年比でどのような推移をしているかをグラフで確認してみましょう。
前回1月のデータの時には、アメリカの小売売上の成長がかなり低成長になっていると警戒していました。
今回のデータでやや上向きになったものの、それでも前年比1.5%とやや低調な成長率なっています。
実質では前年比マイナス成長
そして忘れては行けないのは、小売売上高はインフレ込みの成長率だという点です。
もしもインフレが伸びていた分を差し引くとデータはもう少し悪くなります。次のグラフがインフレを除いた(実質の)小売売上高の伸びですが、1年間ほとんどマイナス成長になっています。
1点注意なのは、上のグラフだけを見て(実質の)個人消費が低迷しているとは言えない点です。
先ほども話を詩ましたが、小売売上高はモノの消費と一部のサービス(飲食店)だけを集計したものです。
小売売上高には大半のサービス消費は含まれていないことを考えると、小売売上高の低迷は「モノの消費は低迷しているが、サービス消費はまだわからない」というのが現時点でわかることです。
モノの消費は鈍っている
ここでは、米小売売上高のグラフを見ていきました。
2023年に米経済を支えたサービス消費はまだ好調だと見られているので、個人消費は低迷していると決めつけることはできませんが、少なくともモノの消費はかなり鈍っていると言えそうです。
特に1月はインフレを含む(名目で)前年比ゼロ%成長まで落ち込みましたが、このような数字は景気後退中やその前に見られます。
現時点では景気後退を警戒する投資家は少数派になっていると感じますが、私はアメリカの景気後退はまだ十分あると思っています。