このブログではあまり取り上げることは多くないのですが、生産者物価指数というものを確認していきたいと思います。
アメリカのインフレが根強いことはすでに先日ブログでも書きましたが、生産物価でもそれは確認できるようです。
この記事のポイント
- 2月のアメリカ生産者物価はおおむね予想を上回る伸びを見せている。
- 生産者物価では前年比のインフレ鈍化ペースが落ちている。また、2024年になってから生産者物価はやや高い伸びを見せている。
- 生産者物価は消費者物価に先行して動いている点にも注意。
予想を上回る2月の生産者物価
インフレを計る数字はいくつもありますが、その中に生産者物価指数というものがあります。
消費者物価が消費者向けの商品の値段を調べたものだとすると、生産者物価は卸売時の値段を調べたものです。
この卸売の値段が上がっているとなると、その後に消費者物価も上昇する傾向が見られるので、生産者物価の伸びが大きくなっていないかを見るのは一定の意味があります。
さて、2月の生産者物価指数の発表が昨晩ありましたが、残念ながら予想よりもやや高めの結果が出ているようです。
- 前月比:0.6%(予想:0.3%、前回:0.3%)
- 前年比:1.6%(予想:1.2%、前回:1.0%)
物価変動の大きい食品とエネルギーを除くコアで見ると、前回よりは伸びは小さくなっているものの、それでも予想よりも高めの数字が出ています。
- 前月比:0.3%(予想:0.3%、前回:0.5%)
- 前年比:2.0%(予想:1.9%、前回:2.0%)
コアの数字ほうが落ち着いているように見えるということは、2月の生産者物価が大きく見えていたのは食品とエネルギーなどの変動の大きなものが影響していたことがわかります。
ただ、どうも少し不安なのは最近はコア前年比でもわずかに上昇に転じているように見えることです。
生産者物価の伸びは前年比でまだ十分低い水準にいるので大きく問題視する必要もありませんが、最近の上昇はやや気になるところです。
消費者物価は生産者物価に追随する
ここまで最近の生産者物価がわずかに上昇しているように見えるという話をしました。まだわずかではありますが、この上昇が続くようだとアメリカの経済は少し厄介なことになります。
先ほどのグラフをもう一度見ていただきたいのですが、今回のアメリカのインフレではまず生産者物価指数(青線)が2020年に上昇してから、2021年になって消費者物価指数が追随する形になっています。
もしも生産物価が今後も上昇するなら、それは消費者のインフレ圧力にもなりえます。
アメリカのインフレは苦戦しながらも私は鈍化が続くだろうと思っていたのですが、ここに来てわずかに雲行きが怪しくなっているのを感じます。
インフレが上がらなくても長いこと横ばいを続けてしまうと、それも問題です。
いつまでも2%の目標達成に近づかないなら、FRBが言っている2024年の3回の利下げも難しくなるかもしれず、そうなると米国債は売られて、ゆくゆくは米国債に対して割高が進む米国株もどこかで一度は売られる展開になるかもしれません、
仮定の話が多くなりましたが、要するにインフレは鈍化が止まってしまうのか注意深く見守る必要があります。