現時点でアメリカの景気後退を警戒している投資家の声はほとんど聞きません。
そして、長らく警告を出し続けてきたアメリカの景気先行指数でも、ついに景気後退シグナルが消えたようです。
この記事のポイント
- アメリカの景気先行指数は予想よりも悪化し、22ヶ月連続で前月比マイナス成長を記録した。
- しかし、景気先行指数の状況はわずかに改善しており、内訳10項目のうち6項目が半年前比プラスとなった。これにより発表元のカンファレンスボードが考える景気後退シグナルは消えた。
1月もアメリカ景気先行指数は不調だが、リセッションシグナルが消えた
1月のアメリカ景気先行指数は、予想よりもやや悪い数字が出ました。また前回のデータもわずかながら下方修正されています。
- 予想:マイナス0.2%
- 結果:マイナス0.4%
- 前回:マイナス0.1%からマイナス0.2%へ下方修正
このデータは前月比でマイナスとなると、今後のアメリカ経済で悪化の兆しがあることを意味します。すでに22ヶ月連続でマイナスを記録しています。
しかし、アメリカはまだ景気後退に陥っていません。それどころか、最近の景気先行指数はマイナスながらもわずかな回復傾向が見られます。
次のグラフはアメリカの景気先行指数の半年前比を算出したものですが、2023年後半からマイナス成長に改善傾向が見られます。
発表元のカンファレンスボードの話では景気先行指数の内訳の10項目のうち6項目がプラスになっていて、リセッション(景気後退)シグナルは消えたと発表しています。
さいごに
ここでは、約2年間低迷していたアメリカ景気先行指数について触れていきました。
前月まで粘り強くアメリカの景気後退を予想していた発表元のカンファレンスボードが、リセッションシグナルの消滅をコメントしたのは印象的でした。
今回の結果からわかることとして、現時点では景気先行指数は景気後退を示していない。2024年のアメリカの景気後退はもはや予測していないが、我々は第2四半期と第3四半期に実質GDP成長率がゼロ%近くまで鈍化すると予想している。
(カンファレンス・ボード)
景気後退予想を続けていたカンファレンスボードは、ついに白旗を上げたことになります。
私はこの1年半ほどアメリカの景気後退を心配していたわけですが、今や景気後退を予想する投資家は明らかに少数派になっているのを感じます。
2022年からの急な利上げが企業に悪影響を与えるまでに時間がかかっているだけだとまだ思っているのですが、もしも景気後退にならずに9%にまで上昇したインフレ率を抑え込めるなら、それは歴史的なすごい出来事を目撃していることになります。