最近のアメリカでは雇用の強さにわずかに陰りが見えたり、製造業を中心に調子の上がらない企業も出てきています。
しかし、消費はまだまだ順調をキープしているように見えます。
12月の小売売上高が発表されましたが、こちらは問題がないどころか、かなり好調だったと思います。
この記事のポイント
- 12月の小売売上高は予想を上回って好調だった。
- 製造業などの一部の業界の景気は悪いが、相変わらず消費が強い傾向は続いている。
- 消費が強い状況はリバースレポも余剰貯蓄も残ってる5月までは続くと思われる。5月以降にアメリカの消費が弱まるかどうかが注目。
好調だった12月のアメリカの小売売上高
12月の小売売上高の結果を確認していきます。
- 前月比:+0.6%(予想+0.4%)
- コア前月比:+0.4%(予想+0.2%)
見ての通り、予想をしっかりと上回って良い伸びを見せています。
下のグラフはこの1年間の小売売上高(名目)の前年比を示したものですが、どうも2023年後半から調子を上げているようにも見えます。
10月末から11月にかけて一時的に消費が落ち込んでこのブログでも心配して取り上げた時期があったのですが、その後にちゃんと持ち直したようです。
今回の小売売上高の好調を受けて、アトランタ連銀のGDP予想モデル(GDPNow)は10-12月期のアメリカの経済成長率をわずかに引き上げています。
このように10-12月期の消費はそれほど悪くないので、BtoC企業の決算も業績は大きく崩れていないはずです。
転換点は5月以降か
1月の製造業がやや不安な立ち上がりを見せたというブログを昨日は書きました。
ただし、上にも書いたようにアメリカの消費はまだ崩れていないので、景気はまだもう少し持ちこたえるのだろうと思っています。
貧困層は苦しいやりくりをしているようですが、「富裕層を中心にお金に余力がある人々が消費」→「企業は売上成長を維持」→「アメリカ全体では雇用は弱まらず、労働者も消費を継続」という流れがまだ続いていますように見えます。
この流れが止まるには、(1)富裕層の資産減少かもしくは(2)消費の減退のどちらかが進む必要があります。
24年5月にも予定されているリバースレポがゼロになって株安になれば(1)富裕層の資産減少が起こるかもしれません。(リバースレポについては下記参照)
一方で、新型コロナ流行時に蓄えた消費者の余分な貯蓄も5月頃に底を付く予定で、そうなれば(2)消費の減退が起こるかもしれません。
いずれにしても、5月までの数ヶ月はアメリカの消費は無難に伸びていくものと思われます。5月以降にアメリカの消費がどのような景色になるのかは、興味を持ってみていきたいと思います。