アメリカでは消費者物価指数と生産者物価指数の発表を終えて、利下げ予想が一段と進んだようです。
どうも市場の利下げの織り込みが早いように感じます。FRBが本当に市場の予想通りに利下げをするのかは少し疑問であり、行き過ぎた利下げ期待の修正が入らないかは少し心配です。
この記事のポイント
- 12月の消費者物価と生産者物価の発表を終えて、市場は3月以降の年7回の利下げを予想し始めた。
- 政策金利を決めるFOMCメンバーによる12月時点の見通しでは2024年の利下げ回数は3回であり、市場と大きな乖離がある。
- 市場の利下げ見通しが修正される時期が来れば、株も国債も一旦売られる動きが起こる恐れがある。
3月以降の毎回のFOMCで利下げを予想する市場
先日の記事で、消費者物価が予想よりも伸びていたものの、それでもまだインフレはおおむね鈍化傾向が続いていると言う話をしました。
そして、翌日に発表された生産者物価(卸売価格)を見てみると、こちらは物価の伸びがかなり低い状態が続いていることがわかりました。
- 前月比:マイナス0.1%(予想:+0.1%)
- 前年比:+1.0%(予想:+1.3%)
- コア前月比:0.0%(予想:+0.2%)
- コア前年比:1.8%(予想:+2.0%)
普段なら生産者物価が低く出ても市場はあまり反応がないのですが、この日は2年債などを中心に米国債が買われて利下げの織り込みが一段と進むこととなりました。
現時点での利下げ予想は次のようになっています。
3月に利下げが開始してから、毎回のFOMCで利下げがあるだろうと市場は予想しています。さすがにここまで利下げの織り込みが進むと、「本当にそんなにハイペースで利下げは進むのか」と私も不安になってきます。
間違っているのは市場かFRBか
12月時点では政策金利を決めるFOMCのメンバーの見通しでは、2024年に3回の利下げしか予定していません。
もしも市場が言うように7回の利下げが実施されるなら、FOMCメンバーは大幅に見通しを修正することになります。3回から7回への利下げ回数の修正はあまりにも大きな変更点です。
たしかに、アメリカに景気後退が迫っているなら、このような大きな利下げも実現するかもしれません。
しかし、今のところ市場にアメリカの景気後退の気配はまだ見られないので(下記事参照)、3月から毎回利下げが起こると市場が考えている背景にあるのは景気後退ではなくインフレ沈静化な気がします。
ただ、FRBのインフレ見通し(2024年末でPCEデフレータ2.4%)は特別大きく間違っているようにも見えないのです。
なので、現段階では市場の利下げ予想がやや行き過ぎているように感じます。
もしも、利下げ期待が行き過ぎているなら、利下げ期待の修正時には株価や国債が売られる調整が入る可能性はあります。1歩ゆずって3月の利下げ開始はFRBが飲んでくれたとして、5月以降の毎回の利下げをFRBが飲んでくれるかはまだ不透明です。
やはり、年始にも書いた通り、2024年半ばごろには一度ターニングポイントが訪れる気がしています。