ここでは、ISMから発表された数字を眺めて11月のアメリカ製造業の景気を確認したいと思います。
結果はあまり良くなかったと思います。相変わらず製造業全体は景気悪化を示しているほか、雇用の数字も良くなかったです。
今年は夏場にアメリカの製造業の景気が回復に向かっている印象があったのですが、この2ヶ月は回復基調もトーンダウンしています。
この記事のポイント
- 11月のアメリカ製造業の景気は思っていたよりも悪かった。
- ISM製造業指数は景気悪化を示す50を割り込んだ上に、予想よりも弱い結果となった。
- 受注残が減っていることから、引き続き需要が弱い状態が続いている。そのような状況では雇用を増やす必要もないので、少しずつ雇用の減少も見られる。
11月のISM製造業指数
11月のアメリカの製造業の景気ですが、どうも思っているほど良くなかったようです。
景気指数の数字は前月からわずかに上昇することが見込まれていましたが、結果は前月と変わらずでした。
- 予想:47.6
- 結果:46.7(前回:46.7)
なお、この数字は50を超えると景気拡大、50を下回ると景気悪化と見ます。
2023年は1回も50を超えていなく、製造業にとって苦しい時期が続いているようです。
ここまでISMの数字が悪くて、アメリカ全体が景気後退になっていないのは珍しいくらいです。
景気後退を回避している理由は、製造業以外(サービス業)がまだ景気拡大を続けているからなのですが、これはどこまで持ちこたえられるのかというとあと半年はもたいないのではないかと思っています。
雇用にも悪影響か
最近はどうも製造業が受けている受注の残量もかなり減っているように見えます。
ISM製造業指数の内訳を見てみても、受注残は大きく低下しています。
受注が減っている傾向が続いているなら、雇用を確保する必要もありません。なので、最近では受注の減少を受けてか雇用指数もじわりと減っているように見えます。
他の指標(例えば新規失業保険申請件数やIndeed求人数)を見ても、11月の雇用は10月よりもわずかに悪くなっている兆候が見られますが、ISMの雇用指数を見ても11月はあまり良くなかったことがわかります。
投資家が、次に注目しているのは12月8日(金)の雇用統計です。
エコノミストはストライキの影響が少なくなる11月雇用統計は10月よりも良くなると見ています。しかし、基調としては少しずつ時間をかけてアメリカの雇用は弱まっていくのだろうと感じています。