今週はアメリカでサンクスギビングデーがある週で、市場も週後半は休みがちになるので動きが少ない週になると思われます。
個人的にはすでに現時点であまり書く材料もなく、普段見れていなかったこと、触れることができなかったことでも書こうかと思います。
というわけで、このブログでは原油価格の下落について書きます。2ヶ月ほど前から少し心配していた材料はあったのですが、このままなら心配は実現しなそうです。
この記事のポイント
- 原油価格は2ヶ月間に30%ほど下落すると、大きなショックを迎えるという経験則がある。
- 最近では9月末から原油は急速に低下していたが、2ヶ月で30%のペースにはならなそう。
- 直近で差し迫っているショックがあるわけではない模様。恐らくまだアメリカは緩やかな景気鈍化に向かう段階。
原油価格とショック
しばらく前に、このブログでは原油価格と経済的なショックについて書きました。
過去のデータを調べてみると、コロナショック(2020年3月)でもリーマンショック(2008年9月)でも2か月前から原油価格が急落して、30%ほど下げた時点でショックが起こっているというものです。
2ヶ月で30%の下落というスピードが一つの鍵です。
ダラダラと30%下げたり、2ヶ月で20%後半の下げを記録することは割と多いのですが、2ヶ月以内にWTI原油価格が30%以上の下げを記録するのは、割と少ないのです。
ざっと15年くらいをさかのぼってもコロナショック(2020年3月)、利上げによる景気後退危機(2018年12月)、ギリシャ経済危機(2015年8月)、リーマンショック(2008年9月)くらいです。
最近の原油の下落スピードはゆるやかに
そして、このブログでは9月末から何度か原油価格の下落が急なのではないかと書いてきました。
ですが、11月はまだあと1週間くらい、結局原油価格は30%超えの下落が起こりそうなのかどうかを見てみたいと思います。
結論から言うと、恐らく今のままなら問題はなさそうです。
また、何日か残っているので確定ではありませんが、11月8日以降は下落が収まっているのでこのまま行けば30%超えの下落は回避できそうです。
時折心配していた12月の経済ショックは、今のところそれほど身構えなくても良さそうです。
もう一つ、今すぐには景気が大きく悪化しなさそうだという証拠があります。
次のグラフはハイイールド債権と米国債の利回り差(イールドスプレッド)を表したもので、景気悪化時にはこれが急上昇する傾向があります。
上のグラフを見る限り、まだ現時点ではイールドスプレッドに大きな上昇は見られません。これを見ても、何か経済的な危機が迫っているようには感じません。
最近ではアメリカの消費に陰りが見えたり、ISM製造業指数も予想より大きく下回ったり、失業率もジワジワと上昇していたりと景気後退の足音が近づいている様子はあります。
しかし、まだ株価や景気が大きく崩れるような気配はありません。景気後退に突入したとしても、景気や株価が崩れるのはもっと先で2024年後半頃なのかもしれません。
また、「逆イールド現象が起こっていた時期と景気後退の長さは同じくらいになる」という話をきいたことがあります。
今回もそれが当てはまるなら、今回の逆イールド現象は随分と長い間続いているので、景気後退期も長いかもしれません。
株の買い場が来るまでには時間がかかるかもしれませんが、気長に待とうと思います。