どうも、米国株の調子が良くないです。この1週間も下落が目立つ日が多かったです。
低迷している原因として少し低調ぎみにスタートした決算シーズンなどに触れている記事も目にしますが、よく調べるとそこまで決算が悪い印象はありません。
個人的には長期金利の上昇のほうが影響が大きい気はします。
この記事のポイント
- 2023年第3四半期の決算シーズンはやや低調なスタートを切った。ただ、アナリストの一株利益予想はそれほど大きく低下していない。
- やはり、最近の米国株の株価が低迷している主な原因は長期金利の上昇にある気がしている。
- やや不気味なのは企業利益の悪化で価格をさげやすいハイイールド債券の下落が9月から続いていること。まだ利益が下がるなら米国株は金利と業績両面で買い材料に乏しい。
下落する米国株
どうも、S&P500の調子が良くないです。この1週間で株価はS&P500は2.8%、ナスダック総合は3.5%下落しました。
1週間前、そろそろ季節的には米国株は上昇しやすい時期に入ったという話をしましたが、今週はかなり低調な成績になってしまったようです。
今週はタイミング的には決算シーズンも始まり出した時期なので、決算が株価に影響しているかと思って調べてみたのですが、どうもそれが主な要因ではない気もします。
やや低調なスタートを切った決算シーズン
今週までに発表があった2023年第3四半期の決算を見ていくと、全体的にやや低調な印象はあります。
下のグラフは、S&P500の企業のうち13%の企業が決算を終わった時点で、どのくらい多くの企業が一株利益と売上で予想超えを記録したかを示したものです。
一株利益も売上も予想を超えている企業は多いですが、過去5年の平均を下回っています。
たしかに、これだけ見ると振るわない決算がS&P500の株価を押し下げている気もしますが、もう少し調べてみると決算はそれほど悲観的な内容ではないことがわかります。
次のグラフはアナリストによる2023年のS&P500の一株利益予想です。このグラフを見ると確かに一株利益予想は低下していますが、直近数ヶ月のピークをつけた9月半ばからの利益低下はわずか0.7%です。
また、来年2024年の利益予想も下がっていますが、こちらの低下はさらに緩やかで9月中旬のピークからわずか0.4%しか下がっていません。
予想利益の低下がこれだけわずかなら、決算がすっきりしないから米国株も下がっているというのは説得力にかけます。
金利上昇の悪影響
では、何が米国株を下げているのかをいうと、一番大きな要因はやはり長期金利の上昇だと思います。
最近の米朝金利の売られ方はどう見ても異常です。そして、その影響を受けて長期実質金利は大きく上がっており、株に悪い影響を与えているように見えます。
現時点ではこの長期金利の上昇が落ち着くかが、あらゆる資産の価格の行方を握っているように見えます。
さいごに
決算シーズンはやや低調な立ち上がりだけど株価への影響は限定的で、金利のほうが悪さをしているのではないかという話をしてきました。
しかし、決算についてはそれほど悪くないとはいえ、まだ油断はできません。来週からは大手ハイテク企業の決算が始まりますが、この大手ハイテクは高い利益成長が期待されているので、ここでコケると大きな痛手になります。
また、株価は大まかに言って「金利」と「利益」で決まります。今は金利の環境が思いっきり悪い上に、予想される利益もわずかとはいえ低下傾向なら、株価が上昇するのは難しいです。
現時点では利益予想はまだ大きく下がっていませんが、企業業績の悪化に反応しやすいハイイールド債券の価格が9月以降に大きく低下して2023年の安値をつけているのはやや不気味です。
ということで、季節的はそろそろ米国株は上昇が見込めるはずだし、まだアメリカ経済は強いはずなのですが、金利と利益(主に金利)の両面で今は米国株に積極的になれる時期はない気がしています。